相続とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた財産を、相続人が引き継ぐことをいいます。民法上の相続財産には不動産、金融資産、動産、借入金などがあり、これらを総称して「遺産」といいます。
今回は、この遺産に関してまずは知っておきたい「相続人」と「法定相続分」に関する基本的な知識についてご紹介します。特にトラブルになりやすい不動産については、遺産相続に詳しい虎ノ門法律経済事務所・池袋支店の鈴木謙太郎弁護士に、注意すべきポイントを伺いました。
取材協力弁護士:鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、
虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、 労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「 皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、 真摯に業務に取り組んでまいります。」)
■「相続人」と「法定相続分」の理解が遺産相続の基本
相続人には「血族相続人」と「配偶者相続人」があります。血族相続人はさらに細分化され、第1順位は子(養子も含む)または被相続人の死亡時に子が既に死亡していた場合には孫など、第2順位に直系尊属(父母、祖父母など)、第3順位に兄弟姉妹または被相続人の死亡時に兄弟姉妹が既に死亡していた場合には甥姪です。なお、この順位は第1順位から順に相続の割合が高くなります。
次に「法定相続分」とは、民法で決められている相続財産(遺産)の分け方の基準割合です。具体的には下記の図でまとめていますが、どの順位の血族相続人がいるかによって、配偶者相続人の相続割合が変化していきます。
■不動産を相続する場合の注意点
相続の時、お金のように分けられない不動産は、遺産の中でも特にトラブルになることが多くなります。例えば亡くなった被相続人と同居中の人がいる場合など、簡単には換金して分けるわけにはいかなくなるからです。このようなケースを踏まえ、家や土地を含む遺産を分ける法的な方法は次の4つがあります。
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