職場で増加するSNSが原因の「不倫冤罪」…誤解されないための法的知識とは

Q.今回のようなメッセージは「不倫」の証拠にはならないのでしょうか?

「裁判などで、不貞行為の責任を問う場合には、同じホテルやマンションから出てくる場面の写真が一番有効となります。

その一方で、そういった写真が無くても、肉体関係があったことを強くうかがわせるメールやメッセージのやりとりが繰り返しあるような場合でも、他の証拠と合わせて不貞行為を立証できるケースはあります。

ただ、今回のように一見して、業務連絡であることが否定できず、良好な関係を伺わせる程度であれば、たとえ1対1の、メッセージのやりとりであっても、法律上不貞行為があった認定をするだけの証拠としては不十分でしょう。」(星野弁護士)

 

Q.「○○案件業務連絡用」など、業務と明確にわかるスレッド名にすると不倫冤罪の危険は回避できるのでしょうか?

「タイトルを工夫すれば危険度が低くなるということはありません。配偶者が本文を見るかどうかを判断する一要素にはなるかもしれませんが、タイトルをどのように設定しようが、結局は内容次第です。

逆に“業務連絡”というタイトルで、本文内容が男女の関係を示すようなものであった場合は、裁判上も事実上も逆効果でしかありません。」(星野弁護士)

 

Q.使用したスマートフォンが、私用のものか業務用のものかは判断の対象になりますか?

「法律上不貞行為の責任を負うかは実質的な内容で判断されますから、スマートフォンが私用でも業務用でも関係はありません。

仮に私用のスマートフォンでLINEやSNSメッセージを使用していたとしても、それが真に業務上のものであれば、法律上不貞行為の責任に問われることはありえません。配偶者が事実上疑いをもつのは否定できませんが、法的には全く問題ありません。」(星野弁護士)

 

要するに、実体として不貞行為を行っていなければ当然ながら問題はないということです。とはいえ、先生の回答からもわかるよう、まずは疑われないために、メッセージ内容を業務連絡の範囲内に留め、不貞行為を示すものや、やりとり自体が不貞行為と評価されないよう注意することが、一番有効な対処法となりますね。

 

*取材協力弁護士:星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

*取材・文・イラスト:新里碧/にっさとみどり (取材漫画家、イラストライター。愛知県佐久島、岐阜県神岡、滋賀県信楽など、地域にまつわるデザインや観光マップ制作など幅広く活動中。Website「Midori Nissato」 )

 

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