「ひとりブラック企業」状態にならないための弁護士からのアドバイス

■重要なのは労働者サイドで課題を共有・認識すること

「改正労働安全衛生法によってストレスチェックの義務化や、その他のメンタルヘルス対策などがスタートしています。こうした取り組みも大切だと思いますが、単に制度として導入するだけでは、建前だけのまやかしとなり、本来の意味で職場の衛生状態を改善していくためには無益なものになってしまうのではないかと危惧しています。

より重要なのは、労働者の側で共通の課題を理解し、共有・認識することだと思います。そして、労働三権(団体交渉権・団結権・争議権)を自分で闘い取ることが最大の対策だと私は考えます。そうした企業との対決には、法律の専門家のサポートが必要になる場合もあります。なので、困っている場合は労働組合や弁護士に相談するといったことも解決方法の一つになるでしょう。そのためには徹底的に証拠集めと実態の暴露を意識すべきことが重要だと思います。」(森川弁護士)

Yahoo! JAPANを運営するヤフー株式会社が週休3日制の導入を検討しているとニュースが報道されたことは記憶に新しいと思いますが、すでにユニクロやGUなどを展開するファーストリテイリングも一部で週休3日制を導入しており、優秀な雇用者を獲得するために、欧米並みのワークライフバランスへ向けた待遇改善がグローバル企業を中心に進んでいます。

また、企業にとっての財産は人材であると考える経営者も増えてきており、大手企業においては、従業員に対するコンプライアンスを強化していく流れが強くなってきています。

しかし、実際には、会社の99%以上を占める中小企業などにおいては、森川弁護士が指摘するように労働者の基本的な権利すら獲得できていない状況があるのも確かです。

社員の健康は、企業の経営状態の健全性にもつながっていきます。すべての企業が、健全な産業衛生を手に入れるためにも、もう一度、自身が持っている労働者としての権利を再認識し、社会と連携し孤立しないような状況に自分の身をおくことは重要なことかもしれません。

 

*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)

【画像】イメージです

*jazzman / PIXTA(ピクスタ)

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