超高齢化社会に向け進行中の「相続法」の改正。配偶者の居住権はどう変わる?

■相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

相続人以外の者が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができるようにすることが検討されています。

現行法上、寄与分は、相続人にのみ認められているため、例えば、相続人の妻が、被相続人(夫の父)の療養看護に努め、被相続人の財産の維持又は増加に寄与した場合であっても、遺産分割手続きにおいて相続人でない妻が寄与分を主張したり、あるいは何らかの財産の分配を請求することはできません。これではあまりにも不公平だと常々問題になるところですので、見直そうということです。

 

改正案で示されている問題というのは、現行法下での弱点や問題点が浮き彫りになっていると言えます。遺言なく被相続人が死亡するケースが日本では多い中、それを規律していくのが民法、特に相続法の規定となっているわけですが、どのように改正されたとしても不十分であることに違いありません。

今回の改正案で示された問題を中心に、皆さんのご家庭でも問題になりそうなところを洗い出すとともに、是非この機会に遺言の作成をしていただき、将来的な紛争を予防していただきたく思います。

 

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

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*cba / PIXTA(ピクスタ)

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小野智彦
小野 智彦 おのともひこ

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