■会社には「業務しわ寄せ」を解決する義務がある
では、時短勤務の同僚も上司も(見て見ぬ振りだけど)イジメのつもりはなく、単純に業務量のバランスが崩れているだけの場合はどうでしょう?
「育児休業や時短勤務で事実上の“しわ寄せ”が生じる可能性は高いとは思いますが、その“しわ寄せ”は本来、使用者(会社)が負担すべきものです。
育休・時短勤務は、労働者と会社の問題であり、それによって他の労働者になんらかの“しわ寄せ”が生じるとすれば、それもまた、他の労働者と会社との問題です。労働者として当然の権利が行使された結果、他の従業員の業務内容が過重になるような労働を命じることは許されないでしょう。
会社がすべき工夫や措置は、最初から育休・時短勤務が生じることを予測して人員配置を考える、ということでしょうか。いずれにせよ労働者側が考えるべきことではないでしょう。少なくともその認識が重要だと思います。そうでなければ職場が分断されます。」(森川弁護士)
これは育休・時短社員vs一般社員の問題ではなく、会社が調整しなければならない問題なのですね。「しわ寄せが来てる!」と思ったら、育休・時短社員に意識を向けるのではなく、会社側に整備を求めていくべきでしょう。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
【画像】イメージです
*Rina / PIXTA(ピクスタ)
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