10年で時効、完済済み、明細がない…「過払い金」について勘違いしやすい5つのポイント

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借金のトラブルでよく聞くようになった言葉に「過払い金」があります。これは、サラ金会社やクレジット会社に多く払い過ぎた「利息」のことです。

「利息」というのはお金を使わせてもらったことに対する手数料です。「利息」はいくらでも取っていいわけではありません。「利息」を年間で何%まで取ることが許されるかについては法律が定めています。出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)と利息制限法です。

この2つの法律が違う利率を定めていたため、過払い金が生じることになりました。

利息制限法は10万円以上100万円未満の借入であれば年1割8分(=年18%)を超える利息を無効と定めています。

他方で出資法は、年29.2%を上限金利(平成22年6月18日改正法施行まで)としており、これを超える金利の契約をしたり受け取ったりした場合を刑事罰の対象とし、貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)で利息制限法を超え年29.2%までの利息の弁済について一定の条件を充たす場合に有効としていました。

こうした法制度の元、サラ金会社やクレジット会社は年29.2%の枠内で利息制限法の上限金利を超える利息を受け取っていたわけですが、貸金業規制法の一定の条件を充たさなければ利息の払い過ぎとなりました。

そして、払い過ぎた利息を元金への支払いに充当して計算上元金がなくなった場合、サラ金会社やクレジット会社は、過払い金として返還を求められているわけです。

以下、過払い金の請求について、よく勘違いされる5つのポイントについて、ご紹介いたします。

 

①過払い金請求の時効は「最終取引日から」10年

最近、TVのCMで過払い金請求の時効は10年であり、最高裁判決(平成18年1月13日)から「今年で10年」経つことを強調した宣伝広告が流れていたりします。

平成18年1月13日の最高裁判決は、利息制限法を超える利息の弁済が有効となる条件について厳しく判断した判決でした。この判決により、利息制限法を超える利息の弁済が有効と判断されることはほぼなくなり、過払い金請求がバンバン起こされる切っ掛けとなった判決です。

TVCMを見ていると最高裁判決から10年経ったのでもう請求できないように思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そうではありません。

確かに過払い金請求の時効期間は「10年」です。

しかし、この10年は最高裁判決の平成18年1月13日からカウントされるわけではありません。時効期間の10年は、「最終取引日」、つまり最後に貸りたあるいは返した日からカウントされます。仮に平成28年9月30日に返済したのであれば、それから10年以内であれば請求できるわけです。

必ずしも今年限りというわけではないわけです。

 

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

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