“「食べログ」の口コミ評価が3.0にリセットされた”、“有料プランを使ってもらわないと検索の優先順位を落とすという連絡があった”として、「食べログ」の点数が恣意的に操作されていると告発する、飲食店関係者のツイートが話題になりました。
「食べログ」においては口コミ評価が3.5点以上であれば高評価、逆に3.0点以下だと低評価だとされています。ツイートした飲食店は、これまで3.0以上の点数があったのに、いきなり3.0に落とされ不満を抱いたようです。なお、「食べログ」側は、有料プランを導入した飲食店は食べログの標準検索で優先的に表示されることは認めたものの、口コミ評価の恣意的な操作は否定しています。
とはいうものの、仮に口コミ評価の恣意的変動がされていた場合、評価が下がった飲食店サイドが「食べログ」を運営するカカクコム社を訴えることはできるでしょうか。
■訴えることができるかのポイントは、権利侵害に該当するかどうか
結論的には、以下の4つの観点から法的に訴えることは難しいといえます。
・評価を恣意的に下げたのかどうか自体が不明であり、そもそもどのような基準によって評価をしているのかも明らかでないこと。
・仮に恣意的な点数評価があったとして、そもそも評価とは一定の恣意性を含むものではないかという疑問があること。
・評価をすること自体が権利侵害になるわけではなく、意図して不当なほど低い評価をしたという事情があってはじめて権利侵害になり得る余地があるくらいのものであり、侵害性が乏しいこと。
・仮に恣意的に評価を3.0にされたとしても、いわば中間値に戻されただけであり、権利侵害と言えるのか疑義があること。
■検索での優先表示はステマにあたるのか?
ところで、「食べログ」側は有料プランを導入すると標準検索に優先的に表示されることを認めています。
これはつまり、「食べログ」における広告枠を購入し、優先表示させるような施策といえます。広告と分からない形で広告をすることは、広い意味では、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)といえそうです。
ステマは違法なことと考えている人もいますが、違法となるステマは、たとえば業者自身が口コミを書き込んでも著しく優良・有利なものであると見せかけるものです。
「食べログ」の場合、口コミを書き込むといったことがされているわけではないので、違法なステマではありません。したがって、この点でも法的に問題にすることは難しいといえます。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
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