■利用料の請求を受ける
著作権は、登録等をせずに自動的に発生するものであるため、原則的に著作権が及んでいるものと思っておいた方が無難です。これは、ネット上に無料で公開されていても同様で、撮影者や絵を描いた人(絵師)には著作権が生じていると考えておくべきです。
そのような写真や絵を勝手にコピーしたり、加工してネットに公開して使えば、著作権を侵害することになります。
そして、著作権を侵害があれば、侵害行為がなければ販売できた分量に応じた額を、損害賠償として請求することができます。また、侵害者が著作権侵害により利益を受けている場合には、その利益分が損害額として推定されるともされています。
したがって、侵害者は、少なくとも利用料相当額の請求を受けるおそれがあります。
■実際いくら請求される?
実際にいくらになるのかというのは、写真等を実際にいくらで販売しているのかということにもよってくるため、一概には言えません。
しかし、日本最大級のストックフォト販売サイトである「アマナイメージズ」が原告となって、無断使用についての利用料相当損害金を求めた東京地判平成27年4月15日が参考になります。
この事件によると、アマナイメージズは6か月超12か月以内の期間の写真1点あたりの利用料金は、1作品42,000円としていたようです。そして、この金額を基準にして賠償額が決定されています。
したがって、少なくとも数万円程度の請求は受けるリスクがあると思った方がよいです。
ちなみに、同判決では「識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは、著作権等を侵害する可能性がある以上当然であるし、警告を受けて削除しただけで、直ちに責任を免れると解すべき理由もない」とされています。
注意を受けて削除した、というのでは不足であるということも認識しておくべきです。
■懲役刑もあり得る
これらのような民事上の問題のほかに、著作権法には刑事罰も定められており、「10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされます。
いきなり刑事事件になることは少ないですが、逮捕等されて人生を棒に振るリスクもあるということは覚えておくべきでしょう。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
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