有害図書と言われる「不健全図書類」とはどんなもの?

■不健全図書類とは

不健全図書類については東京都青少年の健全な育成に関する条例が定めています。東京都青少年の健全な育成に関する条例は、青少年(18歳未満の者)の健全な育成を図るための条例です。

要するに青少年がまともな大人になるように、青少年を取り巻く環境を整備し、青少年の健全な成長に害を及ぼす行為を規制するための条例です。

こうした条例は憲法上保障されている表現の自由ないし知る権利を制約することになりますが、青少年の健全な育成のために一定の制約をすることは認められます。

この条例が規制している不健全図書類というのは、

1.青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、または自殺もしくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類

2.マンガ、アニメーションその他の画像で、刑罰法規に触れる性交もしくは性交類似行為または婚姻を禁止されている近親者間における性交もしくは性交類似行為を、不当に賛美しまたは誇張するように、描写しまたは表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類

です。

要するに、不健全図書類というのはこうした青少年の健全な成長を害するおそれがある図書類ということです。図書類というのは、書籍に限らず、不健全な文書・画像のデータが記録されたCDロム等も含まれます。

 

■不健全図書類の指定

東京都知事は、著しく不健全な図書類について青少年の健全な育成を阻害するものであるとして指定することができます。

東京都知事が青少年の健全な育成を阻害するものであると指定した不健全図書類については、青少年の手に渡ったり青少年が見たりしないよう、次のような規制があります。

1.青少年への販売、頒布、貸付が禁止される。

2.お店に並べるときは、包装しなければならない。

3.お店に並べるときは、指定された不健全図書類を他の図書類と区分し、店の人が監視できる場所に並べないといけない。

以上は、コンビニとかでそうなっていますよね。

4.自動販売機に収納してはいけない。

自動販売機だと監視も困難ですので収納自体が禁止されているわけです。

判例も「有害図書類の自動販売機への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科すことは、青少年の健全な育成を阻害する有害な環境を浄化するための必要やむをえないものである」と述べています(最判平成21年3月9日)。

 

■違反した場合は警告

指定された不健全図書類について販売、頒布、貸付を行った者、包装を行わなかった者、区分けや監視できるような場所への配置を行わなかった者、自動販売機に収納した者は、東京都の職員から警告を受けることがあります。

また、東京都の職員から警告を受けたにもかかわらず従わなかった場合、30万円以下の罰金という形で処罰されることもあります。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

*Umkehrer / PIXTA(ピクスタ)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

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