訪問販売にきた業者が、玄関のドアに足を挟んできた、無理やり玄関に入ろうとしてきたなどという話はしばしばあります。
これらの行為は不法侵入の可能性が考えられますが、これだけの行為で不法侵入として罪を問うことはできるのでしょうか。
また、ポスティングするためにマンションなどの敷地に入る行為などはどのように扱われるのでしょうか?
■訪問販売・債権取り立て側がドアに足を挟む行為
刑事上の住居侵入罪が既遂となるのは、住居内に体の全部を入れた時点とされています。
したがって、足を挟んだだけでは住居侵入の既遂にはならないようにも思えますが、住居侵入罪は、住居の囲繞地(敷地)部分も含むので、玄関前まで入り込んだ時点で、住居侵入罪は既遂となる可能性があります。
他方、住居侵入罪は、単に住居へ立ち入るだけではなく、住居権者(管理者)の意思に反する(不穏な態様の)立ち入りでないと、成立しません。
そうすると、訪問販売や債権取り立てで穏便に玄関前までいくだけでは、原則として住居侵入罪にはならないと考えられます。
ただし、玄関ドアに足を挟み入れる行為は、明らかに住居権者の意思に反しており、かつ、不穏当極まりない態様なので、その時点で、住居の囲繞地に立ち入ったとして、住居侵入罪が成立すると考えることもできます。
また、住居権者が退去を求めたにもかかわらず、正当な理由なく相当時間内に退去しないことで、不退去罪が成立を認めることも可能です。
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