●なぜ選挙運動に年齢制限が必要か?
では、なぜそもそもこれまで未成年者の選挙運動は禁止されてきたのでしょうか。
一般に法律上は、未成年者はまだ心身共に未成熟のため、何でも自由にしてしまうとかえって自らを傷つけかねないということから、国家の後見的な立場から、一定の自由が制限されているのです。
選挙運動に関して言えば、選挙に出る人、それを応援する人の中には、色んな思想の方がおり、未成熟な未成年者がその中に巻き込まれると、一定の思想に洗脳され、正常な判断ができなくなるおそれがあるということで、選挙運動が禁止されているのです。
●未成年の保護のために罰則があるという矛盾
ただ、未成年者を保護する目的であるにもかかわらず、未成年者にも罰則を課するのは本末転倒でもありますし、政治的思想について成熟した未成年者もいるのも事実です。
また、選挙は民主主義の根幹をなす活動の一種でもありますので、できる限り早い段階から参加させるということに積極的な意義があるように思います。
その意味では、今回の年齢引き下げには賛成ですが、それに伴い、学校教育でも民主主義や選挙の意義について、十分な教育を施していくことが必要であるように思います。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
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