「乞食行為」配信で逮捕…そもそもなぜ法律で禁止されているの?

香川県に住む23歳の男性が、インターネットで生放送中に、「お年玉ください」などと、こじき行為を行い、検挙されるというニュースがありました。

このニュースに対して、ネット上ではこじき行為が犯罪であるということに対する驚きと、さらに書類送検されたということが話題となっています。

ところで、なぜ、こじき行為が犯罪と決められたのでしょうか。寄付によって生活する人がいても良いと思うかもしれません。しかし、軽犯罪法で禁止されているのは事実です。今回はその理由について解説していきます。

こじき乞食物乞い

軽犯罪法って何?

軽犯罪法は、比較的軽いルール違反を犯罪として処罰するため、戦前の警察犯処罰令の後身として昭和23年から施行されている法律です。

軽犯罪法は、健全な国・社会として望ましいルールに人が違反した場合、厳しく処罰するまでのものではないが、健全な国・社会を維持するために処罰を可能にした法律です。

軽犯罪法は、様々な行為を軽犯罪として定め、軽犯罪を行った者を拘留または科料という形で処罰すると定めています。拘留は1日以上30日未満の期間刑事施設に身柄を拘束されることです。科料は1,000円以上1万円未満のお金をペナルティとして支払わされることです。

拘留も科料も刑罰としては比較的軽いものになります。

 

■こじき行為で書類送検された理由

軽犯罪法は、こじきをすることや人にこじきをさせることを軽犯罪として規定しています。

こじきをすることや人にこじきをさせることが軽犯罪なのは、国民は本来自ら働くことによって自らの生活を維持・向上させるべきという秩序に反するからです。

憲法27条1項は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。」と定めています。

軽犯罪法1条4号も、「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、かつ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」を軽犯罪として処罰しています。

こじきをする者が社会に蔓延すれば、ますます働かない者が蔓延し、社会や国の発展は望めません。

そこで、こじきが軽犯罪とされているわけです。

今回の香川のこじきは、インターネットの動画配信サイトを使ってこじき行為を行ったということであったため、悪質でけしからん、真似する者が出てくるかも知れないので放置できないと判断されたのでしょう。

 

●お坊さんもこじき?

なお、こじきは、他人に分けてもらう少ない食物のみで満足できるように精神を修行するお坊さんのことも意味するようです。

こうしたお坊さんを軽犯罪という理由で逮捕することは、お坊さんの信教の自由を不当に侵害しますし、お坊さんが社会の秩序を乱しているわけでもないので濫用に当たると思います。

つまり、今回はネットでこじき行為の配信を行ったという部分が大きなポイントであったと考えられます。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお 弁護士

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

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