「イジメの事実は無かった」 …なぜ学校はイジメの存在を認めないのか

学校

●学校がイジメを認めない理由

学校内でのイジメ問題は、昔からありますが、ネットが盛んになり、裏サイトなどが出回って、凄まじい展開をみせているところではあります。

学校内でのイジメの問題の一番大きなところは、イジメなのかじゃれあいなのかの区別がなかなか付かないという点にあるのだと思います。それをいいことに、学校の先生は、イジメと敢えて捉えようとせず、見て見ぬ振りをするのでしょう。

学校自体には、イジメられている生徒がいたら、それを防ぐ義務があります。これは判例でも認められており、教育基本法、学校教育法等の趣旨から、在学契約に基づく義務として導かれるものとされています。

イジメを認識しながら、これを敢えて放置したということであれば、学校の責任が問われますが、認識していなかったということであれば、責任を問われないのです。

ですので、余程のイジメがあったとしても、学校側は見て見ぬ振りをして、イジメを認識していなかったというのです。

 

●学校側の責任が認められた例

実際に裁判になった例として学校側の責任が肯定された例として、以下のようなものがあります。

ある学校の吹奏楽部の部員の女の子が、「アトピーがひどい」「顔が醜い」「部活に邪魔」などと言葉の暴力を受け、これに対して必要な措置をしなかった事案です。

他には、恥かしいあだ名をつけられた挙句、仲間はずれや無視をされ、毎日のように「きもい」「うざい」「死ね」などと言われ、鞄を蹴られたり、教科書を隠されたり、靴に画鋲を入れられたりなどとしたイジメの案件で、学校側の必要な措置が取られなかった事例です。

これらの事例では、いずれも生徒自身の慰謝料としては、50万円強の慰謝料が認められました。

学校側としては、我が校でイジメがあったということが露呈すると、学校の評判に関わりますので、それを隠したくなるのは分かりますが、その前に教育者として、生徒のために最善を尽くして欲しいと心から願うばかりです。

 

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

小野智彦
小野 智彦 おのともひこ

大本総合法律事務所

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