ベランダ喫煙で慰謝料命令・・・禁止されてなくても吸ったらダメなの?

最近、禁煙ブームが続き、喫煙する者にとっては肩身が狭くなっていく一方です。

一昔前までは路上喫煙は当たり前、映画館や電車のホーム、飛行機の中までも喫煙者で溢れかえっていましたが、今では吸える場所を探す方が大変なほどになっています。これは外出先に限ったことではなく、自宅でも同じではないでしょうか。

家族に換気扇の下での喫煙も禁止され、ベランダで煙草を吸っている人もいると思います。しかし、煙は風にあおられ、舞い上がっていきます。このような行為が近隣住民の迷惑になる場合もあり、トラブルになることもありますが、ベランダで煙草を吸う行為、違法性はあるのでしょうか。

タバコ女性

●マンションの管理規約にどう書かれているか

考えられるのは、民事上の責任、つまり慰謝料の支払義務があるかどうかです。とはいっても、民法やその他法律にベランダで煙草を吸ってはならないという規定はありません(少なくとも私は見たことがありません)。

そうすると、民事上の責任は生じないのか、というとそんなに単純な話ではありません。

住んでいる場所がマンションである場合、多くは管理規約というものが存在します。

管理規約とは共同で生活する上で守るべきルールであると考えていただければ結構です。この管理規約の中に、ベランダでの喫煙を禁じる規定がある場合や、もう少し抽象的に、他の住民に迷惑をかけないようにしなければならないなどといった規定があることがあります。

これらの規定に反した場合、最悪の場合はマンションを出て行かざるを得ない場合があります。もちろんすぐにそのような事態になることはありませんが、再三の注意を無視するなど態様が悪質な場合などはそのような事態になる可能性があります。

 

●ベランダ喫煙で裁判になった例

また、管理規約等がなくとも、不法行為責任が生じる場合があると判示した裁判例があります(名古屋地裁平成24年12月13日)。

この事件は、マンションの下の階に住む男性が、ベランダで煙草を吸うため再三やめるように注意したにもかかわらず、男性が煙草を吸い続けたために提訴したというものです。

裁判所は、結論として、男性に金5万円の支払いを命じました。この判決では、マンションの他の居住所に与える不利益の限度によっては喫煙を制限すべき場合があり、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながらも喫煙をつづけ、なんらこれを防止する措置をとらない場合には,喫煙行為が不法行為となることもあるとしているようです。

そのため、再三の注意を無視し、これまでと同様に喫煙を続けた場合には、不法行為責任を負うことがあるということになります。

以前は単なるマナー、モラルの問題だった煙草の問題ですが、現在は単なるマナー違反では済まされなくなってきています。愛煙家には辛いところですが、煙草を吸う際には隣人に最大限気を配った方がよいのではないでしょうか。

 

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

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山口 政貴 やまぐちのりたか

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