商店の商品にいたずらをしたとして、その様子を撮影した動画をインターネットにアップロードした少年が逮捕されました。
報道などでは大きく取り上げられていますが、話題になったわりには「やってることはたいした事ないよね…」という声も散見されています。
今回、大々的に報道された一連の行為は、法律上どう扱われ、この少年はどのような罪に問われることになるのでしょうか。
●店舗に入っても建造物侵入罪が成立する
少年が問われた建造物侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金とされています。住居侵入罪という罪名の方が有名かもしれませんが、住居侵入罪と建造物侵入罪は同じ条文で定められています。
建造物侵入罪は、その立入りが、その建造物の管理者の意思に反する場合に成立します。コンビニなどの誰でも入ることができる場所であっても、店内は店長等の管理者が管理する空間であり、お客は管理者の許可があるからこそ自由に入ることができるという理屈です。
管理者は、店内でいたずらをする者の入店は望んでおらず、今回のような少年の行為は、管理者の意に反するものといえるでしょう。
●建造物侵入以外の犯罪も成立する可能性がある
動画をアップロードするなどして、店舗を特定させたりした行為については、その店舗に商品の確認等本来無用な業務をさせるおそれがありますから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
また、商品が店舗のものであれば、器物損壊罪や窃盗罪の成否も検討しなければならないでしょう。
●比較的軽微な犯罪ではあるのだが
建造物侵入罪や業務妨害罪の法定刑の上限は懲役3年であり、懲役10年の窃盗罪など比較すれば軽微な犯罪とされています。
しかし、これは侵害される利益の具体性が低いためであって、決して悪質さを否定するものではありません。店舗側の具体的対応をみれば、万引きなどより負担は大きい場合もあるでしょう。
今回の少年がどのような考えであったかはわかりませんが、少年は20歳未満ですから、今後は家庭裁判所に送致され、処分等がおこなわれることになります。
とはいえ、今回の事件が大きく報道された原因には、動画がインターネットにアップロードされたという物珍しさがあったものと思います。その行為自体を見れば、犯罪自慢の類といえるのですから、そこまで大きく報道される価値があるのか、という疑問は投げかけられ得るのではないかと思います。
*著者:弁護士 荻原邦夫(りのは綜合法律事務所。刑事事件を主に取り扱っています。お客様に落ち着いていただき、理解していただけるよう対応します。)
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