<シリア拘束事件> 日本でも過去に実施された「超法規的措置」とは何か

シリア

■「超法規的措置」って何?

一般にはその名のとおり、法律の規定と異なる、いわば「本来違法な措置を、人道目的や人命救助目的で政府が特別に行うこと」を意味します。

超法規的措置は、法律の規定にない措置、もしくは法律の規定に公然と反する措置ですから、どの法律にも規定はありません。

したがって、どういう事案に超法規的措置が実施されるかは、あるいは超法規的措置が許されるかは法律で要件が決まっているわけではありません。

注意したいのは、法律に反する以上、超法規的措置という呼び名を付けたからといって、軽々に本来、法に抵触する行為が適法となるわけではありません。

 

■具体例

よく問題となるのが、テロや誘拐・立てこもりの犯人が、身代金や囚人の釈放などを求めるケースです。

犯人側が要求する身代金は、高額となることも多く、被害者家族が個人で負担できる金額ではありません。

また、囚人の解放は、まさに国家の刑罰権に真っ向から反するもので、被害者家族だけでは如何ともし難い要求です。

そこで、政府が拘束されている人質の釈放と交換に、犯人の要求に応じるかを判断することになります。

しかし、本来、税金を投入する公費予算を支出するには予算案の議決と予算を執行する法律の議決を国会でしなければならず、身代金を国庫・公費から自由に支出することはできません。犯罪者に公費を支払うこと自体、法に抵触します。

ところが、実際には、人質の人命がかかっているときにそのような手続きをとる時間はなく、水面下の交渉や臨機応変な対応も難しくなります。

そのため、内閣が比較的自由に使える外交報償費、官房報償費、予備費といった予算費目から身代金を支出することが検討されるようです。

他方、確定判決を受けた囚人の釈放についても、司法権にも、国家の刑罰権行使にも反します。

そのような理由にから、人質解放の交換条件としての身代金の支払や囚人の釈放は、超法規的措置と呼ばれます。

 

■過去の事例

有名な事例として、1977年に日航機が日本赤軍グループ5名にハイジャックされたダッカハイジャック事件があります。

このときは、当時の福田赳夫首相が、人命救助を優先し、身代金支払と囚人釈放を行いました。

ただ、犯人の要求に応じることは、さらなる犯行を誘発する危険もあり、政府がとるべき対応は判断が難しいとされています。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

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