虚偽の強姦証言で懲役12年…嘘をついた女性はどのような罪に問われるのか?

先日、強姦と強制わいせつの罪で懲役12年の実刑判決が確定し、約3年半にわたり服役していた男性が、刑の執行を停止され、釈放されました。

男性は過去に、同じ女性に対して2度の性的暴行を加え、さらに同じ女性の胸をつかんだなどとして、強姦と強制わいせつ容疑で逮捕、起訴されていました。男性は捜査段階から一貫した否認をし、公判でも無罪を主張していましたが、被害女性や目撃者の証言が決め手となり、実刑判決が確定していました。

男性が釈放された理由は、有罪の決め手となった「被害女性や目撃者の証言」が虚偽であると判明し、さらに男性の犯行を否定する材料となる新しい客観証拠が見つかったことにあります。

さて、不運にも冤罪に巻き込まれてしまった場合、無実の人を冤罪の罠に陥れた自称「被害者」や「目撃者」には一体どのような法的制裁が待ち受けているのでしょうか。その裁判に関わった検察官や裁判官に責任は発生するのでしょうか。また、男性に対する補償はどれだけ出るのでしょうか?

今回はこの事件について、銀座ウィザード法律相談所の小野智彦弁護士に聞いてみました。

牢獄

虚偽の証言をした女性や目撃者は罪に問われる

「まず、この事件には、被害者と証人の二人が出てきています。被害者についてですが、強制わいせつ罪については親告罪ですので、告訴がなされていると思います。この告訴が虚偽ということになりますので、虚偽告訴罪が成立します。」

「また、証人の方が嘘の証言をしているということで、被告人は否認をしていたということですから、法廷で宣誓のうえ、嘘の証言をしたことになりますから、偽証罪が成立します。」

虚偽告訴罪は3か月以上、10年以下の懲役が科され、偽証罪についても3か月以上、10年以下の懲役が科されます。刑の下限は軽いですが、虚偽の証言をした「被害女性」や「目撃者」についてもしっかり罪に問われるようです。

ただし、虚偽告訴罪、偽証罪についてはあまり起訴をされていない犯罪類型であり、とりわけ偽証罪は例年数人程度しか起訴されていないことを考えると、納得がいかないという声が聞かれそうです。

最近では、痴漢冤罪をでっちあげた女性が虚偽告訴罪で有罪判決を受けるといった裁判例も顔を出してきているようなので、このような悪質な事件について、虚偽告訴罪や偽証罪で対応するようなことが増えていくかもしれません。

 

なぜこのような嘘を女性はついたのか

「痴漢事件に関しては、女性達が共謀して痴漢の事実を作り上げるべく、痴漢をされていないにもかかわらず、慰謝料目当てで男性を陥れ、嘘の被害と嘘の証言で罪のない人を痴漢犯人に仕立て上げるという事件が一時期横行しました。本件はその一環ではないかと思います。」

犯罪の被害者は、当然加害者に対して損害賠償請求をすることができます。また、示談で済ますことになったとしてもそれなりに高額な示談金が支払われることでしょう。冤罪をお金儲けの手段として使うことができてしまうのです。( 怖すぎる痴漢ビジネスの実態も合わせてご覧下さい。)

 

釈放された男性に対しては、何らかの補償がある?

「刑事補償法によって、補償がなされます。1日当たり、1,000円以上12,500円の範囲内ということになっていますが、事案の性質から、高いところの補償がなされるものと思います。」

 

●女性が男性に支払う損害賠償額は数千万円になる可能性も

男性としては人生をめちゃくちゃにされているということで、その原因を作った女性に対して損害賠償請求をしようと考えるのも自然なことだと思われますが、どうなのでしょうか?

「もちろん、できます。その方が職を失ったことに対する損害、懲役に行かざるを得なかったことに対する精神的慰謝料、拘禁されることで精神疾患を患っていたとすればそれに対する慰謝料等、数千万円にはなるものと思います。」

かなり高額な請求ができるようです。冤罪を作り出すことがどれだけ個人に大きな被害を与えるかが分かります。職を失ったことによって生じた損害についてまで請求できるというのは、驚かれる方もいるのではないでしょうか。

 

●「有罪」とした検察官や裁判官に何らかの制裁は下される?

もともとの原因は女性の虚偽の告訴、証言だったとはいえ、実際に裁判で有罪の主張をするのは検察官であり、それに対して有罪の判決を下すのは裁判官であります。もし冤罪が起こったとすれば、彼らは何らかの責任を負うべきと考える方も多いかもしれません。

「もちろん、誤判、誤起訴ということになりますので、組織内での何らかの査定資料にはなるものと思います。」

直接何らかの賠償責任や罪を負うわけではないようですが、まったく制裁が存在しないというわけでもないようです。

 

この事件の問題点

最後に小野先生はこの事件の問題点についてこう語ってくれました。

「映画『それでもボクはやっていない』で痴漢えん罪事件が取り上げられていましたが、当時は真っ向から痴漢えん罪を争うよりも、罰金も安かったこともあり、早く釈放されることを選択して、争わないケースが多かったのも事実です。そのような状況を利用して、慰謝料目当て(示談すれば起訴されずに釈放されます)で、このような罠をしかける輩が多かったことが原因のひとつにあると思います。」

以上のように、万が一冤罪が起きてしまった場合にも、法は応報を用意しています。

しかし、男性にとっては失ってしまった職業や時間は不可逆であり、決して取り戻すことはできません。冤罪を作り出してしまった自称「被害者」も、膨大な額の損害賠償責任や罪を負うことになります。無実の人を冤罪に巻き込むことは、決してタダでは済まないことだと肝に銘じておくべきでしょう。

 

*協力弁護士: 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

 

小野智彦
小野 智彦 おのともひこ 弁護士

銀座ウィザード法律事務所

東京都中央区銀座1-15-13VORT銀座604

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