東日本に甚大な被害を与えた台風15号と19号。
2ヶ月連続で今まで経験したことがなかったような強力な台風が日本を襲ったことに、驚いた人は多かったのではないでしょうか。
近年大阪・北海道・熊本で強い地震が発生しているほか、広島や大阪でも台風によって甚大な被害が出ており、日本人の生活を脅かしています。
悪質商法も横行
地震や災害が発生すると、被災地はもちろん、それ以外の地域でも物流がストップし飲食物などが品薄になることがあります。
とくに災害が発生した地域では、十分な食料が確保できないことも多いものです。
そんなときに現れるのが悪質な人間。ある被災地では、通常200円のパンを1000円を売っていたという目撃情報も出ており、怒りの声が広がりました。
また、災害後に家などの修繕需要が高まることに目をつけ、通常よりも高い金額設定にする業者も一部にいるといわれます。
これらはいわゆる便乗値上げというもので、弱き者をくじく行為といわざるを得ません。
「みんなが困っているなら値段を吊り上げてやれ」という発想は、実に卑怯です。取り締まる方法はないのでしょうか?
法律事務所あすかの冨本和男弁護士に質問してみました。
取り締まる方法は?
冨本弁護士:「物価統制令違反として取り締まってもらうことが考えられます。
物価統制令は、戦後のインフレ対策のために定められたルールですが、物価の安定を確保して、国民の生活に支障が出ないようにするための法令です。
物価統制令は、不当に高価な金額での取引、暴利となるような金額での取引を禁止し、違反者に対する罰則も定めています。
したがって、便乗値上げによって、不当に高価な金額での取引、あるいは暴利となるような金額での取引となっているような場合、物価統制令違反として取り締まってもらうことが考えられます」
取り締まりを検討するべき?
10月に発生した台風19号では、気象庁や政府が事前の十分な対策を呼びかけたため、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで買い占めが発生し、物資が極めて不足する事態になりました。
そして災害後も工場の操業ができなくなる、道路の寸断などによって物流が滞り、品薄状態が数日から数週間続きました。
ほとんどの小売業者は適正価格での販売を続けていますが、中には悪質な便乗値上げを行う個人や業者がいるようです。
現状そのような行為が法的に規制されている様子はありませんが、災害がひっきりになしにやってくる時代、取り締まるような流れになっても良いのではないでしょうか。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)