アプリを利用し婚活中のAさん(20代・女性)は、思わぬトラブルに巻き込まれています。少しでも自分を良く見せようと、加工した写真をプロフィールにアップし、やりとりをしていた男性と会うことになりました。
実際に会ってみると男性が激怒。「写真と違いすぎる、詐欺だ」と怒り出し、「遠くから来た」として交通費を請求してきました。
女性は自分も悪かったと思っていますが、交通費の支払いは拒否。しかし、しつこく返せと言われています。果たして、交通費を返還しなければいけないのでしょうか? 高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。
Q.婚活アプリで会った男性から「写真詐欺」を咎められ交通費を請求された。払う必要はある?
A.別人の写真でない場合は請求できない
理崎弁護士:「婚活サイトでは、自分が最もきれいに見える写真を掲載するのが通常でしょうし、実際の見た目と違うというのは見る人の主観に過ぎない場合が多いと思います。
男性としても、写真と実際とが違うということを十分に理解した上で婚活サイトを利用していると思いますので、写真と実物が違っていたとしても、女性は男性に対して何らかの法的責任を負うものではありません。
基本的には男性の自己責任ということになります。そのため、女性は男性に対して、原則として交通費を請求することはできません。
もっとも、まったく別人の写真や、何十年も前に撮った写真をサイトに掲載していたような場合には、男性の自己責任とはいえないので、女性に対して交通費を請求できる余地はあるかとは思います。」
法的には交通費の請求は難しいものの、本人であってもまったく別人のような写真の場合、相手は困ってしまうもの。過度な加工は、避けたほうが賢明ですね。
*取材対応弁護士: 理崎智英(高島総合法律事務所。弁護士登録以来、離婚や不倫問題を中心に取り扱っており、多数の解決実績がある)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)