払わなきゃいけない?キャバクラ・風俗の罰金制度

風俗店やキャバクラ・ホストクラブなどの飲食店においては、キャスト(従業員)やホストなどの出勤を確保するために、独自のルールを設けている場合が多く見られます。

本日は夜の世界で特に多く見受けられる「罰金制度」について、その適法性と罰金を請求されたときの対応方法についてお話いたします。

 

1 罰金制度について

風俗店やキャバクラ・ホストクラブなどの飲食店において、罰金制度は従業員の出勤を確保する役割を果たしております。

上記のような店では、お店というよりも従業員にお客さんがついていることが多く、その従業員が出勤しなければお客さんが来ず、お客さんが来なければ売上が上がらないという構造になっているため、お店としてはいかに従業員に出勤してもらうかという点を考える必要があるのです。

ここで多くのお店が、来てくれたらお金を払うよというインセンティブをつける方式で出勤の確保を図るのであれば問題はないのですが、来なければペナルティを与えるという方式で出勤の確保を図ろうとしているため、問題になります。

具体的には、遅刻、早退、当日欠勤、無断欠勤に対して、賃金のカットや罰金を払わせるといった負担を課すことが多く行われています。

 

2 罰金制度の適法性

こういった罰金などのペナルティに法的な問題はないのでしょうか。

労働をしていない時間について賃金を払う必要は原則ありませんので(ノーワーク・ノーペイの原則)、遅刻や早退により労働をしていない時間分の賃金は払う必要がありません。

それではペナルティとして、遅刻をしたのでその日の給料は半分にするとか、無断欠勤をしたので、その日の賃金相当額を罰金として払えといった取り扱いは認められるのでしょうか。

皆さんも感覚的には分かるかと思いますが、そのようなペナルティは違法になります。

具体的には「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と規定する労働基準法第16条に違反します。

そして、労働基準法に違反する罰金制度は無効となります。

以上のとおり、仮に無断欠勤をしたとしても「罰金」という形で金銭を支払う義務を負うものではなく、仮に支払ってしまった金銭があれば取り戻すことが可能になります(なお、無断欠勤によって、お店などに損害が発生したときに、この損害の賠償を従業員に請求することは一定範囲で認められる可能性があります。)。

 

3 罰金を請求されたり、支払ったりしてしまったときの対応法

上記のとおり、法的には支払を拒否することができますし、支払済みの金銭については返金を求めることができます。

ですが、実際には強く支払いを迫られて断ることができなかった、支払わなければクビにすると言われて支払ってしまった、本来であればもっと多くの金銭を請求できるところ罰金で我慢してやっていると言われた、などご自身で交渉をしても、なかなか支払を拒否したり、返金を実現したりすることができないケースが多いようです。

風俗店や飲食店における罰金の問題に限ったことではありませんが、勤務を継続しながら、使用者と交渉することは簡単なことではありません。

そのような場合には、最悪、退職することを覚悟する必要がありますが、弁護士など専門家に相談し、代理での交渉を依頼するほうが良いかと思います。その際には、店側と言った言わないという言い争いになることを回避するために、出来る限り証拠を保全(LINEやメールなどのやり取りを保存しておく、電話での会話を録音するなど)しておきましょう。

職を失うリスクや負担を考えると、そう簡単にはアクションを起こせないという現実はあるかと思います。

ただ、当たり前のように違法なルールが業界内に存在し、ペナルティに追い立てられながら勤務するという現状を変えて、働きやすい環境を作っていくためには、一人一人が諦めずに、おかしいことはおかしいと言い続けていく必要があるでしょう。

 

*執筆弁護士:若井 亮(若井綜合法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)

*画像はイメージです(pixta)

若井 亮 わかい りょう

若井綜合法律事務所

東京都豊島区東池袋4丁目25-12サンシャイン・サイド9階

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