ニュースの映像に映っていた!肖像権の侵害にはならないの?

毎日テレビで流れるニュース。お天気ニュースでよく見かけるのは、暑い日にうちわで扇ぐ人、台風の日に傘が壊れてびしょぬれの人、寒い日にコートに顔を埋める人。

彼らは特にカメラを意識している様子もありません。遠くからズームで撮ったかのような映像もあります。

 

これらは肖像権の侵害にならないのでしょうか?

 

銀座さいとう法律事務所齋藤健博弁護士に伺いました。

 

肖像権というのは、実は、法律に明確に定義されていません。各種判例や裁判例(たとえば写真撮影を無断でした捜査機関の行為の適法性など)で、争われて、確立されてきた一種の法的利益というべきものです。難しいことをいいましたが、要は、時代に応じて変化する、明確な定義が難しい性質であること、権利とまで昇格させていいものなのかさえ議論されているものなのです。

 

では、具体的に考えてみましょう。たとえばテレビのインタビュー。堂々とインタビューしているところに写り込んでいたら?これは肖像権の侵害なのでしょうか。

結論は、肖像権の侵害にはならないでしょう。実は、公道を歩行していると、他人にその姿を見られ、場合によっては記念撮影に写りこんでしまうこともありえますよね。

実は、『黙字の承諾』という考え方があります。公道を歩いている以上は、肖像権そのものも絶対無制約とまでは言えず、受忍すべき限度があります。しかし、受忍限度を超えているのであれば、話は別です。

 

よくニュースで、上空から撮っていたり、遠くからズームしていたりしているときがありますよね。あのように映るのはすごく嫌だという気持ちは、保護に値する場合があるのです。たとえば、公道を歩いている状態ではなくて、おうちの中まで写ってしまっていたらどうでしょう?車の中まで写ってしまっていたらどうでしょう?

 

これらはプライバシー権の侵害と主張することができましょう。ましてや、不特定多数人に一方的に、マスメディアによって晒されてしまったらどうでしょう。やはりこれは、プライバシー権の侵害に至っている、受忍限度を超えているといわざるを得ないでしょう。

この場合、不法行為に基づく損害賠償請求も、視野に入ってくるでしょう。

ニュースの映像は、肖像権の侵害にはあたらないのですね。あの映像のせいで、会社をサボっていたり、浮気をしていたり…バレたくないことが露見してしまうかもしれません。みなさん、街頭でメディアのカメラを見かけたら細心の注意を払って歩きましょう。

 

*弁護士監修/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

 

*取材・執筆/アシロ編集部

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