何十年と生きていると、必ず家族との別れ、つまり家族の死を経験することになるでしょう。
病気などで死を意識した人が遺言を書いている可能性が高いのは想像しやすいですが、たとえ、突然のできごとで亡くなったとしても、故人が遺言をのこしている可能性があります。
そこで、この記事では”遺言書の探しかた”についてお伝えします。
この記事は、法律事務所アルシエンの武内 優宏先生に監修いただきました。
遺言書の探しかた
遺言書には「自筆証書遺言書」「公正証書遺言書」「秘密証書遺言書」の3種類があり、それぞれ保管場所が異なることがあります。
◆自筆証書遺言書の探しかた
自筆証書遺言書とは “自分で書いて、家のどこかにしまってあるタイプの遺言書” のことをいいます。そして、このタイプの遺言書は自宅内や貸金庫に隠してあることが一般的です。
そのため、自筆証書遺言書の場合は、自力で探し出さなくてはいけません。なお、自筆証書遺言書を発見した場合には、家庭裁判所の検認手続きを行う必要があることも知っておきましょう。
◆公正証書遺言書の探しかた
公正証書遺言書とは “公証役場に保存されている遺言書” です。そのため、全国各地にある公証役場に問い合わせれば見つけることが可能です。
ちなみに、保存状況は全役場で共有されているため、どこの役場に問い合わせても見つけることができます。公正証書遺言書の有無を確認したい方は日本公証人連合会から公証役場に問い合わせてみてくださいね。
ただし、遺言を書いた方が亡くなっていることが条件になります。生きている間は教えてもらえませんので注意が必要です。公正証書遺言書を受け取る際には以下のものが必要になりますので、忘れないようにしましょう。
- 被相続人(亡くなった方)が死亡したと記載のある戸籍謄本
- 被相続人(亡くなった方)の除籍謄本
- 相続人(遺言を受け取る方)の謄本
- 相続人の身分証明書と印鑑
◆秘密証書遺言書の探しかた
秘密証書遺言書は、 “自筆証書遺言書のように家や貸金庫に隠してあるが、公証人(遺言書の法的効果を認める公務員)に遺言書であることを認めてもらっている遺言書” のことをいいます。
なお、秘密証書遺言書の場合も自筆証書遺言書と同じように、自宅や貸金庫などから見つけ出す必要があります。
遺言書を見つけてもその場で開封はNG?
封がされている遺言書を見つたらすぐにでも開封したい気持ちはわかりますが、その場で開けることはやめましょう。
というのも、もし、先に開封した人が中身をすり替えてしまったら亡くなった人の意思とは違う結果になってしまう可能性がありますよね。これを防ぐために ”先に遺言書を開封すること” が民法で禁止されています(民法1004条)。
万が一、先に開封した場合は5万円以下の過料が課せられる可能性があります。
遺言書には3種類あり、探し方や見つけた後の取り扱いなどが異なることが伝わりましたか?亡くなった人の意思を尊重できるように、早めに遺言書を見つけてあげたいですね。
*記事監修弁護士:法律事務所アルシエン 武内 優宏先生(H19年弁護士登録(東京弁護士会)。法律事務所アルシエン共同代表パートナー、終活カウンセラー協会監修。遺言・相続、中でも「おひとりさま」の法律問題に力を入れている。中小企業の法律問題も多く取扱っており、東京都中小企業振興公社において、法務セミナー講師を勤めている。)
*取材・文:アシロ編集部
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