会社が有給取得を却下…不当性を訴えることはできる?

1月も終盤。正月気分も抜け、いつも通りの生活に戻っていることでしょう。通常勤務に身体が慣れる一方で、また休暇を取りたいと考えている人もいるはずです。

本来有給休暇は特段の事情がない限り従業員の好きな時期に取得できるものですが、実際職場では「年末年始に休んだのに、もう休暇?」と嫌味をいわれるケースや、却下されるケースがあるそう。

同じように長期連休空け初日に休暇を取ることについては「けしからん」と考える風潮があり、マイナス査定に繋がることもあると聞きます。このようなことは許されるのでしょうか?

ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。

 

Q.有給休暇を申請したら拒否された! 法的問題はない?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

A.「事業の正常な運営が妨げられる場合」であれば、拒否も認められます。

「有給休暇の取得は、労働者の権利です(労働基準法39条)。雇入れから6ヶ月継続勤務と労働日の8割以上の出勤が条件ですが、付与日数は勤務日数等により異なります。

いつ、有給休暇とするかは、原則、労働者の指定で決まりますが、“事業の正常な運営が妨げられる場合”には、雇用者側が別の日を指定できます(労働基準法35条5項 時季変更権)。

この“事業の正常な運営が妨げられる場合”とは、慢性的に業務が忙しいとか、人手不足などでは条件を充たさず、事業の内容、規模、担当業務、業務の繁閑、年休の日数、他の労働者との調整等総合的に考慮されなければならないとされています」(森川弁護士)

 

休むことによって事業の運営に支障が出ると判断された際には、会社が有給申請を却下することもできるようです。しかし、条件を満たしていない場合の却下は、違法となる可能性が高くなります。

自分の有給申請が不当に却下され納得いかないと感じている場合は、泣き寝入りせず弁護士に相談した上でしかるべき措置を取りましょう。

 

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中

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