今月13日、婚活パーティで知り合った女性に脅迫文を送ったとして脅迫の疑いで男性が逮捕されました。
男性と女性は食事などのデートを約10回繰り返しましたが3ヶ月ほど経過して女性が別れを切り出したところ、「デートに使った18万円を返せ」と電話などで迫ったといいます。
調べに対し容疑者は「交際費は請求したが、脅迫はしていない」と述べているそうですが、そもそも交際費の請求自体は法的に筋が通っているのでしょうか?この点について検証してみたいと思います。
この手の相談は意外と多いものです。好きな女に御馳走して振られたら「今までおごった分を返せ!」というのは、何とも男として情けない思うのは私だけではないと思いますが、今回は法律家としての観点から検証を加えます。
■デート代とはすなわち「贈与」
通常は、お金をあげるというよりも、食事を御馳走する、プレゼントをあげる、遊園地のチケットを買ってあげるというように、物に変えてプレゼントするということになると思います。その意味では、デート代というのは、全て贈与ということになります。
贈与にも2通りあり、書面による贈与と書面によらない贈与があります。デートの場合には、わざわざ書面によってデート代を出すことを約束するような野暮なことはしないでしょうから、書面によらない贈与になります。
書面によらない場合は、言った言わないの話になるので、履行が終わるまでは撤回できることになっていますが、既にデートやらプレゼントやらをしてしまっている以上、履行は終わっているということになります。
従って、「あのデートはなかったことにしてくれ。」「あのプレゼントは返してくれ。」ということは言えません。
もっとも、この贈与契約も、公序良俗に違反するような場合には、無効になります。例えば、結婚することや性交渉をすることを餌に、全くそのような気もないにも関わらず、貢がせるような行為の場合です。
ただ、なかなか証明が難しいところです。相手に交際相手や旦那がいたとしても、恋愛はどのように発展するか分からず、略奪愛として成功する場合もあるのです。交際期間や、騙された人間の収入、貢がされた物の値段等を総合的に勘案して、考えることになるでしょう。
本件では男性が48歳、10回のデートで18万円というデータだけから判断すると、特に通常のデートの範囲を超えるものではなく、返還請求は認められないということになるものと思います。