北海道の飲食店で、「客に早く帰ってほしかった」と噴射したスプレーにライターで引火させ、利用客にやけどを負わせるという事件がありました。
お店のルールを守らない人を退店させる権利はお店側にもありますが、実力行使は基本的にNGです。
退店させる際、強い口調により退店してもらう、あるいは、警察の介入をお願いするなどの方法が考えられますが、上記の件は、違法であることは読者の皆さまもお分かりかと思います。
今回は、どういった場合にお店側は強制退店させられるのか、見ていきたいと思います。
■お店が閉店時間を迎えた場合
閉店時間を迎えた場合、いきなり強い口調による退店を強制するのは難しいと思います。
徐々に退店を促すコールを強くしていき、30分経っても依然として帰らないというような場合には、威力業務妨害罪にもなりかねませんので、「これ以上居続けると、警察を呼びますよ」と言う警告を発して帰ってもらうというのがよろしいかと思います。
■入店時に2時間制などと時間が決められていた場合
後の予約のお客様を案内する都合もあるでしょうし、予め入店時間についてアナウンスしていたのであれば、時間になる少し前から時間のコールをし、退店が少しでも遅れた場合には、ある程度強く退店を強制しても問題ないかと思います。
■何も注文しないで居座り続ける場合
どの程度の時間、何も注文しないのかによりますが、30分以上何も注文しないまま居座り続ける場合には、退店の要請をしてもよろしいかと思います。
「注文します」と言いつつ、その後もしないまま居続ける場合には、威力業務妨害そのものですので、警察を呼ぶなどの対処をしてもよろしいかと思います。
■禁煙席で喫煙した場合
現在は、分煙が常識化していますので、禁煙席で喫煙した場合には、お店のルール違反だということで、即退店を命じてもよろしいかと思います。
拒否するようであれば、威力業務妨害ということで警察を呼ぶなどの対処をしてもよろしいかと思います。
■そのほかに
一般的には、お店の業務を適正に行える範囲内かどうか、周りのお客様が我慢できる限界を超える程度かどうかが一つの基準になるかと思います。
それを越えれば、刑事では威力業務妨害ということになりますし、民事では営業権侵害ということで損害賠償請求の対象となるものと思います。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
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