今月21日東京都心でソメイヨシノが開花したとの発表が気象庁よりありました。
春のお楽しみである、花見。気の置けない仲間や、職場の人々と綺麗な桜を見ながら酒を飲む。日本独特の文化です。そんな花見の計画を立てている人も多いのではないでしょうか。
■楽しい花見が…場所取りをめぐってトラブルも
楽しいイベントである一方、毎年トラブルが発生しています。昨年、横浜市の企業が公園の8割をブルーシートで覆ったうえ、「この時間以外はご自由にお使いください」などと書いた張り紙を掲示し、5日間に渡り場所取りをしたことで、猛批判を浴びました。
このほかにも企業や個人による過剰な「花見の場所取り」がたびたび問題になっています。本来なら人間の「良心の範囲内」で行われるべきことなのですが、残念ながら度を越した場所取りが横行しているようです。
あまりにもおかしな場所取りを見かけた場合、法的に訴えたくなります。違法性を問えるような場所取り行為とはどのようなものなのでしょうか?
■違法になる場所取りは?
まず違法性を判断するうえで肝となってくるのが、私有地か公有地かということ。
当然ながら、私有地の場合は所有者の許可を得ない形で勝手に「花見をするから」といって場所をとるのは、所有者の権利を違法に侵害するもので、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)の対象となるばかりでなく、建造物侵入罪(刑法130条)となる可能性もあります。
次に公有地についてですが、こちらは管理者の意向がどのようなものかが鍵になってきます。管理者が一切の場所取り行為や花見を禁止している場合、それを破る形になる場所取りは違法となる可能性が高く、不法行為責任が生じ得ます。
また、条例等で地域ごとに規制をしている場合には、刑事上の責任が生じる可能性もあります。
一方、管理者が許可している場合は場所取り可能ということになりますが、社会常識を大きく逸脱していると思われる場合、違法性を問われることがあります。また、公園の場合は都市公園法で、
「都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない」(都市公園法6条)
と定められており、違反した場合は六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金が課される可能性があります。
いずれにしても社会的に見て常識外と感じられる行為は、法に触れる可能性があるということ。常識を持った場所取りをするよう心がけましょう。
*記事監修弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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