会社の嫌な行事の1つとして「社員旅行」を挙げる人は多いのではないでしょうか。本来は福利厚生の一環であったり、社員同士の親睦を深めたりすることが目的のイベントなのですが、その目的が社員旅行でないと達成できないのかどうかは少し疑問ですよね。
また、社員旅行のために積立金が給与天引きされている会社もあると聞きますが、もし社員旅行に行くことを拒んだ場合、この積立金は返金してもらえるのでしょうか?
Q.社員旅行に行かなかったら積立金は返金してもらえる?
A.積立金の用途にもよりますが、返金される場合もあります。
まず、積立金がどうして給与天引きされているのかという点ですが、恐らくは労使協定もしくは雇入れ時に積立金を天引きする旨の同意が取られているはずです(ただ、雇入れ時の同意の場合は雇用契約書と同時に同意が求められるので、実質的な拒否権はほぼ無いに等しいでしょう)。
この積立金が、純粋に「社員旅行の費用に充てるための積立金」であったのであれば、社員旅行に行っていない場合その費用は使われていない訳ですから、積立金の返金を求めることは可能であると言えます。
ただし、積立金の利用目的が「社員旅行を含めた全ての親睦会などのイベント費用」のためであれば、数あるイベントの1つに過ぎない社員旅行に参加しなかったからといって積立金の返還を求めるのは難しいでしょう。
なお、そもそも社員旅行に行くことを拒否できるかどうかですが、社員旅行が完全に業務外(土日祝など)に行われるのであれば、それはプライベートをどう過ごすかという問題になるため参加するかどうかは本人の自由です。
ただ、社員旅行が「業務」として行われる場合、そこへの参加を一方的に拒むことは積立金以前に「業務命令に背く」、ということになるため何らかの懲戒処分を受けることを覚悟する必要があることをご注意いただきたいと思います。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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