コンビニやスーパー、飲食店などでアルバイトをした経験がある人なら、レジ打ちに関わったことのある方は多いでしょう。
ただ、このレジ打ちは一見単純なようで売り上げの入力ミスやお釣りの過誤払いなどのヒューマンエラーによって、本来レジ内にあるはずの金額と実際の金額が合わない、ということは意外とどの店舗でも日常的に起こっているものです。
手作業で行う以上、ミスはつきものですが、お店によってはレジミスによる損害をアルバイトに補てんさせるようなところもあると聞きます。そのような行為は法律上問題ないのでしょうか?
Q.レジミスの損失を補てんなんて法的に許される?
A.お店側に損害を与えているのは事実ですが、かといってお店のために働いている従業員が全額を補てんするのは不公平であると言えます。
まず大前提として、レジミスをしてお店側に損害を与えてしまった場合、確かにその損害を賠償する義務というのは発生します。
とは言え、お店側もレジ打ちをするアルバイトを雇うことによって店舗を経営し、利益を得ているのですから、アルバイトが起こしたミスに対して使用者として一定の責任は負うべきであると考えられます。
そのため、レジミスの都度、その損害額を全てアルバイトが補てんするのは不公平であると言えます(類似の裁判例では、労働者の賠償額は4分の1程度に制限されるというものがあります)。
なお、この補てん額を「罰金」のような形で給与から天引きすることは労働基準法に違反するため、完全な違法行為となります。
まとめると、お店側にも使用者としての責任があるため、レジミスの補てんを全額従業員に求めるのは不公平であり、また補てんを給与から天引きするのは違法ということになります。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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