清水富美加が突然の引退…仕事を急に辞めることの法的問題は?

女優の清水富美加さんが出家し芸能界を引退したというニュースが話題になっています。インターネット等のニュースを見る限り、清水さん側、事務所側が双方代理人弁護士を介して話し合いが行われているようです。

清水さんが所属していた事務所では、過去に能年玲奈さん(当時)が突然の独立をして騒動になったことも話題に拍車をかけているようです。こういったように、芸能人が突然の引退や独立によって決まっている仕事に穴を開けることについて考えてみたいと思います。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

■芸能人の契約形態はどうなっている?

インターネット等の記事によると、清水さんが月給5万円で働いていたというような記載があります。また、意にそぐわない仕事を強制されていたというような記載があります。

その真偽はもちろん不明ですが、仮に事実であるとしても、タレント、女優を問わず、「芸能人」という形態やテレビ等の露出から想像するに、現在の清水さんが事務所と雇用契約を締結し、法律上の労働者として勤務していたということは考えにくいと思われます。

仮に清水さんが法律上の労働者という立場であるとすれば、その場合、時間外労働や退職の自由というところが問題化され、事務所側が強気に出られる理由は無いように思われます。

 

■突然の引退に伴う法的問題は?

では、このたびの出家、引退報道に関連してどういった法的問題が想定されるかという点については、清水さん側と事務所側との契約内容によることとなり、何かを断定的にお話しすることは難しいと言わざるを得ません。

あくまでも、想像にすぎませんが、清水さんと事務所は、事務所が仕事を取ってきて清水さんが仕事をする企業なりテレビ局等との間に発生する報酬の一部を事務所が受け取るというような内容の契約を結んでいたのではないかと思います。

取引相手となる企業等とは、事務所が直接契約を行うことになると思いますので、その場合、清水さんがその仕事をしなかった場合、企業等と事務所との間の契約(出演契約等)が債務不履行となり、事務所は企業等から損害賠償の請求を受けることになると思われます。

 

昨年、一世を風靡したベッキーさんや高畑裕太さんの騒動でも、違約金という言葉をよく目にされたと思いますが、何らかの問題でする予定だった仕事が出来なくなったことに対する損害を事務所が負担するということは十分にあり得る話です。

その違約金なり損害賠償金といったお金を、事務所が清水さんにどれだけ負担させるのかという点が今後の争点になるかもしれません。

ただ、どうしても仕事を急にやめることが取り沙汰されていますが、個人的には清水さんが実際に命の危険を感じるほど疲労し切っていたのであれば、勇気を出して仕事を辞めてしまうという選択をしたことは正解だったと思います。

死んでしまえば取り返しがつきませんからね。その点を無視して、仕事に穴を開けることについてのみ糾弾する報道については疑問を感じています。

なお、通常の雇用契約であれば、いつでも解約の申し入れが出来て、2週間経過後に雇用契約は終了します。会社からの圧力でなかなかやめられないという方は、お気軽に近くの専門家に相談してみてください。

 

*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)

【画像】イメージです

*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)

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河野先生
河野 晃 こうのあきら

水田法律事務所

兵庫県姫路市本町68-170大手前第一ビル3階

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