国内のスマートフォンの利用率が6割を超え、FacebookやLINEなどのSNSの利用率も右肩上がりとなっています。社内の同僚や上司との交流や連絡ツールとして使用している方も多いのではないでしょうか?
ただし、利用者同士のつながりを簡単にしたり深めたりする機能があるこれらのツールの利用によって、職場における業務連絡や一般的なコミュニケーションの範囲を超えたセクハラに発展することも。
この問題について、弁護士法人プラム綜合法律事務所の梅澤康二弁護士に伺いました。
*取材協力弁護士:梅澤康二(弁護士法人プラム綜合法律事務所。東京都出身。2008年に弁護士登録。労働事件、労使トラブル、組合対応、規定作成・整備などのほか各種セミナー、労務問題のリスク分析と検討など労務全般に対応。)
■SNSならではのセクハラとは?
まず、SNSならではのセクハラは存在するのでしょうか?
「基本的にはSNSでの連絡と、通常のコミュニケーションを区別する必要はないと考えます。
したがって、SNSで執拗に交際を迫ったり、職場外で会うことを迫ったり、卑猥な言動をしたり、これらを拒否されたことで報復したり(相手をSNSの業務アカウントから削除するなど)をすれば、セクシャル・ハラスメントと評価される可能性があるでしょう。」(梅澤弁護士)
梅澤弁護士が指摘する通り、SNSも通常のコミュニケーションツールのひとつです。
しかし、SNSは職場だけでの付き合いでは知ることがない、個人的な情報を見聞きする機会ともなります。また、LINEなどのメッセージアプリは電話やメールよりも連絡が簡単で気軽にできる分、距離感を見誤ることもあるでしょう。意図せずとも相手のプライベートに踏み込みがちになるという性質があるのです。だからこそ、今までなら起こらなかったトラブルを生むきっかけにもなりえます。
■セクハラ問題を回避するには?
「職場での連絡に、性的な表現や性別を殊更に意識する言動をする必要はありません。セクシャル・ハラスメントを行わないようにするには、SNSでもそのような言動を慎むことでしょう。
職場でのやり取りと個人的なやり取りを完全に切り離すことは困難です。最初から職場の人間には性的な言動や性別を意識させる言動をしないという対応で一貫させれば、セクシャル・ハラスメントの問題は生じにくいと考えます。」(梅澤弁護士)
SNSも、基本は通常のコミュニケーションと同じだということを踏まえていれば、セクハラ問題は回避できるはず。また、SNSならではの特性を踏まえ、使用についての職場内ルールを設けるのも有効かもしれません。便利なツールが迷惑行為のために使われることがないよう、利用者全体の意識向上が求められます。
*取材協力弁護士:梅澤康二(弁護士法人プラム綜合法律事務所。東京都出身。2008年に弁護士登録。労働事件、労使トラブル、組合対応、規定作成・整備などのほか各種セミナー、労務問題のリスク分析と検討など労務全般に対応。紛争等の対応では、訴訟・労働審判・民事調停などの法的手続きおよびクレーム、協議、交渉などの非法的手続きも手がける。M&A取引、各種契約書の作成・レビュー、企業法務全般の相談など幅広く活躍。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
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*kou / PIXTA(ピクスタ)
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