残業代の支払いは法律によって厳格化されてきていますが、タイムカードを押さないで時間外労働を強要するサービス残業の問題は、依然としてなくなりません。
昨今は、サービス残業を禁止する企業も増えてきましたが、自分に割り当てられた業務が期日までに終わらないといった理由で、一部の従業員が、それに従わないといった事例もあるようです。
特に悪質なのが、上司がサービス残業ではなく、サービス早出を強要するといったケースです。あるネット上の掲示板でも、こうした上司によるサービス早出や、サービス残業の強要が話題となっていました。上司は、法的な抜け道だと解釈しているのかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。
そこで、労働問題に詳しいピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお話を伺いました。
■早出も当然「時間外労働」の扱いに
夜は残業代がつくのに早出は無給、結果として上司は早出を強要するといった問題について、どのような対応を取れば良いか、弁護士としての見解をお教えください。
「早出も“時間外労働”であるので、スタンダードに考えて会社に(125%の)残業代を請求することが可能です。しかし、実際にはそうした支払いに応じないといった企業も多いかと思います。こうした悪質な企業に時間外労働の給与を支払わせるためには、出勤時間をタイムカード・写真などで証拠化しておく必要があります。
また、誰に相談をするべきなのかといったことはケースバイケスですが、主に以下の4つが考えられます。
(1)労働基準監督署に相談する
(2)企業内のコンプライアンス部門に相談する
(3)労働組合に相談する(労働組合がない場合は、職場の同僚と共に労働組合を結成する)
(4)労働問題に詳しい弁護士事務所に相談する
これらの相談窓口を利用して、“時間外労働”に対する適正な給与を求めていくことが大切です。」 (森川弁護士)
- 1
- 2