10年ほど前に一時ブームになったキックスケーター(いわゆる「キックボード」)が、最近移動手段として見直されつつあるようです。本日は、そんなキックスケーターを利用する上で押さえておきたい法律的な知識についてお話しいたします。
キックスケーターを運転する際に気をつけるべきルールを定めた法律は、道路交通法です。
●キックスケーターは道交法でどう扱われる?
キックスケーターが移動手段であるという点に主眼を置くと、タイヤが付いていて人力で動くという意味で共通する自転車と同じように考えればいいと思う方もおられるかもしれません。
でも実際は、キックスケーターは道交法上自転車と同じとは定められておりません。道交法上、「自転車」といえるためには、ペダルやハンド・クランクによって動く乗り物ではないといけないのですが、キックスケーターにはペダルやハンド・クランクは付いていません。
かといって、キックスケーターの乗り方からすると、人や動物の力で牽引するものでもありませんので、道交法上、自転車以外の「軽車両」に該当することもありません(なお、「自転車」は「軽車両」に含まれます。ややこしいですね)。
そうなってくると、キックスケーターは道交法上定義づけられる車両には該当しないことになります。では、キックスケーターに乗るに際しては、道交法上特段何らのルールもなく自由に乗っていいかと言われると、そういうことではありません。
● キックスケーターはスケボーと同じ扱い
現状、キックスケーターは道交法上、ローラー・スケート(古いですね!?)やスケートボードなどと同じ扱いになると考えます。
道交法76条4項3号は、「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」を禁止しております。キックスケーターは、ローラー・スケートに「類する行為」として、取り締まりの対象となるということです。しかも、これに違反すると、5万円以下の罰金に処せられることになります(道交法120条1項9号)。
ということは、現状、交通量が多く自動車がひんぱんに行き交う道路においてキックスケーターを乗ってはいけないということになりますね。
実際に取り締まられたという話を聞いたことはありませんが、気をつけた方がよさそうです。速度が出して走行していれば歩行者にぶつかって思わぬ怪我にもつながりかねません。
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*著者:弁護士 河野晃 (水田法律相談所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)