「ブラックバイト」に立ち向かうためにとるべき行動

ブラック企業という言葉はすっかり定着していますが、最近は「ブラックバイト」という言葉も広がりつつあります。

サービス業を中心に「アルバイトなのにノルマを課せられ、達成できないと給料から引かれる」、「辞めたいと言っても辞めさせてくれない」、「ミスをすると損害賠償請求をするなどと脅される」、「残業を強いられた上に残業代が出ない」等のトラブルに巻き込まれるバイトが存在するようです。

2015年9月には、ある飲食チェーン店において店長が大学生のアルバイトに対して4か月連続勤務や高額の自腹購入等の強要を行っていたというブラックさが詰まったケースが報道されています。

このようなブラックバイトに巻き込まれてしまった場合、どのように対処すればよいのか。また、自分では対処しきれなかった場合はどうすればよいのかについて解説したいと思います。

カフェGraphs / PIXTA(ピクスタ)仕事女性

●ブラックな主張には耳を貸さず毅然と立ち向かえればベスト

まず、上記の例はブラックバイトの典型例で、いずれも違法です。その他にも、たとえば休憩時間にも仕事をさせられたり、休みを取ろうとしたらクビにされたり給料を下げられたりすることも違法です。

自分のバイト先で行われていることは変だなと思ったら、まずはインターネットで「アルバイト ○○ 違法」等の検索ワードで検索してみるといいでしょう。明確に違法なものであれば公的機関など信頼できる配信元の記事がヒットします。

とくに、辞めたくても辞めさせてくれない(しかも辞めようとすると罵倒されたり損害賠償請求をするぞと言われたりする)場合は、ひるんでしまうとブラックな環境に身を置いたまま心身を壊すことになりますので、「それは違法ですから私は2週間後に辞めます。これ以上脅すようなら、本社や労働基準監督署や弁護士に相談します。」と毅然と立ち向かうのがベストです。

 

●自分1人では解決できない場合はどうするか

とはいえ、「お世話になったバイト先だから」、「今辞めると他の人に迷惑がかかるから」、「バイトしないと生活できないし次のバイト先が見つかる保証はないから」等の理由により、なかなか自分1人の力では解決できない場合もあると思います。

そこで、次善の策としてまずは労働基準監督署、労働センターなどの公的機関や弁護士に相談してみることをお勧めします。弁護士であればだれでも労働問題は必ず扱っていますし、費用が気になるようであれば法テラスや無料相談を行っている弁護士事務所に相談することができます。

また、ブラックであっても辞められないのが学費や生活費を捻出するという理由であれば、親族へ相談したり、奨学金の借入れ・給付を受けることをまずは検討してみてください。

親族に金銭的余裕がないこともあるでしょうが、ブラックバイトを続けて心身を壊したり学業に支障が出たりするかもしれない状況を説明すれば何らかの形で力になってくれる可能性が高いです。親族からの援助が期待できなくとも、いまは奨学金制度が充実しており一時的であっても奨学金の借入れ・給付を受けられる可能性がありますので、学生課や奨学課に相談してみましょう。

 

●自分を犠牲にする必要はない

この前、漫画原作者等の経歴を持つ小池一夫さんがご自身のツイッターで「若い人に言いたいのは、『自分が犠牲になっていくらかの人を幸せにするよりも、いくらかの人を切って自分を幸せにすること』を選べということ。自分の不幸の上に成り立った人の幸せの数より、自分が幸せになることによって人を幸せにできる数のほうがずっと多いよ。」とツイートしていたのを目にしました。

アルバイト先や同僚に迷惑がかかるからという責任感からブラックな環境にとどまり続け、心身を壊したり学校を卒業できなかったりすれば、かえって幸せにできる人を少なくすることは間違いありません。ぜひ、ブラックバイトのトラブルに対しては1人で悩まないようにしてください。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

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