だんじりで轢かれて死亡した場合、責任はどこへ行くのか

だんじりというのは、五穀豊穣のお礼に神様を山車で村一周の旅に連れていっておもてなしをするというものですが、その際、何トンもある山車を何十人かで勢いをつけて綱で引っ張ります。

その豪快さは名物となっていますが、時にその豪快さにより操縦者が轢かれてしまったり、見物客が建物との間に挟まれるなどの事故が発生することも少なからずあります。

だんじりで操縦者が亡くなった場合、責任を問われる可能性のある者として祭りの主催者やだんじりの他の操縦者が、責任の内容として民事上の損害賠償責任や刑事責任が考えられますので、分類して検討いたします。

     okara / PIXTA(ピクスタ)

■民事上の損害賠償責任

・だんじりの他の操縦者の責任

考えられる責任としては不法行為責任です。不法行為責任というのは、わざと(=故意)あるいはうっかり(=過失)によって他人の保護されるべき権利や利益を侵害してしまった者がその事によって発生した被害者の損害について負う賠償責任のことです。

不法行為責任は、被害者を救済し損害の公平な分担を図るための制度です。

他の操縦者が事前の稽古・練習通り合図役の適切な指示に従って山車を操縦していたのであれば責任は生じませんが、主催者の許諾も操縦者としての能力もないのに操縦者として参加して操縦していたり、目付役や合図役の指示に従わずふざけて近くの操縦者を押したりしていたような場合にはこうした賠償責任を負う可能性があります。

 

・だんじりの主催者の責任

この場合も考えられる民事上の責任は不法行為責任です。

主催者はだんじりに参加している人達の生命や身体の安全について配慮する義務を負っています。こうした義務を安全配慮義務といいます。

主催者の安全配慮義務の内容としては、操縦者や見物人の生命・身体に危害が及ばないよう、山車の操縦者・目付役・合図役等についてその能力や危険の内容・程度に応じて適切に人選・配置する、巡行路を徹底的に確認し事前に練習・稽古をさせるなど環境や条件を整えることなどが考えられます。

山車の操縦者の場合、山車の近くで操縦する者については危険が及ぶ可能性が高いわけですから、ベテランを配置するといった配慮も必要でしょう。

主催者がこうした安全配慮義務を怠った場合、不法行為による賠償責任を負う可能性があります。

 

■刑事上の責任

刑事上の責任としては、主宰者や他の操縦者が業務上過失致死の責任を負うことが考えられます。

業務上過失致死は、業務上必要な注意を怠ることによって人を死亡させた場合に成立する犯罪です。

この場合の「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為で、かつ、他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるもののことをいいます。

だんじりは年に何回もやるものではありませんが、永年行われてきているものですし、他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるものであることは間違いありませんから「業務」といえるのではと考えます。

業務上過失致死が成立する場合、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金という刑罰が科せられる可能性があります。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

弁護士保険「Mikata」

コメント

コメント