先日、既婚者向けの不倫サイト「アシュレイ・マディソン」から利用者の大量の個人情報が流出したことが話題となりました。
さらに驚くべきことに、あるインターネット上の記事によると、同サイトに登録している女性ユーザー約550万人のうち、約90パーセントから約95パーセントが、いわゆる「サクラ」であったことが判明したようです。
このようにユーザー同士の交流を目的としたサイトに、サクラを織り交ぜるようなことは違法ではないのでしょうか。
●サクラがいるだけでは違法ではないが…
結論から言いますと、サクラサイトが違法かどうかは、サイト利用料等の金銭が発生するのかどうかによります。
すなわち、サイト利用者が、サイト登録時にサイトに対して登録料を支払う必要があったり、サイト内で出会った異性と連絡を取り合う際に利用料などの金銭が発生する場合には、サクラサイトは違法となる可能性が高いでしょう。
なぜならば、サイト利用者としては、サイト内で異性と出会えるからこそ、登録料や利用料を支払っているはずであり、もし、自分が連絡を取り合っている相手が、サイト側が用意した「サクラ」であった場合には、登録料や利用料を支払わないはずです。
そのため、サイト側があらかじめサクラを用意したうえで、サイト利用者から登録料や利用料を徴収していた場合、そのようなサイト側の行為は、詐欺罪(刑法246条1項)に該当し、違法となる可能性が高いでしょう。
ただし、サイトへの登録料や利用料は、不倫をするための対価であるところ、そのような不法な目的での金銭の支払いは「不法原因給付」(民法708条)に該当し、民法上の返還請求権が否定される可能性はあります。
一方、サイトへの登録時や相手との連絡時に一切金銭の支払いが発生しない場合には、詐欺罪に該当することはありませんので、違法とはならないでしょう。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)