首相官邸の屋上に落下して話題ドローン問題を受けて、タケコプターについてのツイートが話題となっていました。
「ドローンを人の頭に付けて人ごと飛ぶと、航空法の無人機にも航空機にも該当しなくなるため、規制を受けないことに気付いた人々がいたのである。」というものです。
もし、タケコプターが発明されたら、現状の法律ではどのように扱われるのでしょうか?大真面目に検証してみたいと思います。
■航空法適用の可能性はある
ドローンで人間を運ぶタケコプター形式の場合は、航空法の規制が適用される可能性があります。
航空法では、規制対象となる航空機とは、「人が乗って航空の用に供することができる飛行機……、飛行船その他政令で定める航空の用に供することができる機器」と規定しています。
したがって、無人のドローンの場合は、航空機に該当しませんが、タケコプターの形でドローンに人がぶさ下がっている場合は、「人が乗って」いる状態であると解釈できる余地があり、現行法でも航空機として規制対象になりえます。
ドローンについて、航空法の規制がないとして問題視されているのは、基本的には、無人機である場合であり、ドローンに人が乗っている、あるいは人を運んでいる状態(タケコプター状態)である場合には、必ずしも現行の航空法が適用されないとは断言できません。
■無人機の場合
現在、問題となっている無人機ドローンの場合、航空法の航空機として規制は受けず、ラジコンなど同様、空港や飛行場周辺において、航空機の飛行に影響を及ぼす高度・空域での飛行が規制されるのみです。
■今後の法改正
ドローンが官邸に侵入した問題をきっかけとして、無人機のドローンについても、規制を導入する議論が行われています。
今後日本でも何らかの規制が導入される可能性は高いと思いますが、現行法の枠内においても、違法となるケースはあります。
官邸へのドローン侵入事件でも、警察は業務妨害罪の適用を前提に捜査をしています。刑事上の責任の他、プライバシー侵害の民事責任も生じることもあるでしょう。
ちなみに、タケコプター形式でドローンで人を運んで官邸等に進入すれば、当然、建造物侵入罪等にも問われます。
ドローンで現実に人を運ぶのは、安全性の面からなかなか困難かもしれませんが、無人機の場合と比較すると現行法の枠内でも多くの問題点を孕んでいます。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)