弁護士なしで裁判する「本人訴訟」のメリット・デメリット

借金や離婚のトラブル、遺産相続などなど、生活をしていると思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。

このような人間の生活に関係する紛争を解決する訴訟を「民事訴訟」と言います。この民事訴訟は刑事訴訟と違い、弁護士を立てずに本人自身で訴訟を行う「本人訴訟」をすることが可能。

実は日本では本人訴訟は頻繁に行われており、なかには最高裁まで本人訴訟で戦い、勝訴した例もあります。

しかし、弁護士に頼むことのメリットがあるため、多くの人は弁護士に依頼をします。では本人訴訟にはどのようなメリットがあるのでしょうか? そしてデメリットはどのようなものなのかを紹介していきます。

裁判

■メリット

ヨーロッパなど、訴訟は必ず弁護士を立てなければならない制度(弁護士代理の強制)を採用する国もありますが、日本の民事訴訟では、弁護士を立てずに本人訴訟をすることが可能です。

本人訴訟のメリットとしては、弁護士費用を節約できる、という点に尽きます。

ただし、本人訴訟のために適切な訴訟追行ができず、本来勝てるはずの訴訟で負けてしまっては本末転倒で、かえって損失が多くなることもあります。

現在は、簡易裁判所の窓口で親切に訴訟提起の手続きまでは教えてくれることが増えましたが、それでも裁判官は中立の立場ですから、訴訟が始まった後は、基本的には、親切に教えてくれることはありえません(当事者の一方に肩入れすることはできません)。

 

■デメリット

最大のデメリットは、やはり適切な権利保護がなされないおそれがある、ということにあります。

民事訴訟では、当事者が必要な主張・立証をしなかった場合、裁判所が職権で判断してくれることはなく、それどころか、当事者の主張・立証がないのに裁判所が職権で勝手に取り上げて判断してはならないことが民事訴訟法で定められています(これを弁論主義の原則と呼びます)。

訴訟において、例えば原告がどのような主張立証をすれば請求が認められるかは、請求権(権利)の内容や事案によって千差万別であり、内容も専門的ですので、本人訴訟で必要な主張・立証活動をしなかったために、いわば訴訟技術の稚拙さのために敗訴するおそれが生じてきます。

極めて簡易な法律関係で、かつ、請求額が少なければ、本人訴訟という選択肢もありうるところですが、請求額が一定以上の場合は、本人訴訟でうまく訴訟できなかったために、敗訴してかえって多額の損失を被ることは避けた方がよいでしょう。

 

■弁護士費用を節約したい場合

全国にある法テラスでは、弁護士費用の立て替えや、生活保護者には償還免除での弁護士費用立替制度を利用できます。法テラス利用の場合、弁護士費用がかなり低額に設定されることが多くなっています。

そのため、どうしても自腹で弁護士費用を用意できない場合は、利用を検討してもよいと思います。

ただし、法テラスの弁護士費用基準額が低いため、法テラス基準では引き受けない弁護士も少なくありません。

 

■弁護士からみた本人訴訟

争点が存在する事案では、相手方が本人訴訟だと、訴訟の進行がスムーズにいかないことがあります。

また、相手方に助言者がいないので、裁判所から妥当な和解案が示され、それが相手方にかなり有利であっても、和解が成立しないケースも見られます。

さらに、反論も感情論や争点と関係ない主張が多く、論理的で法的に有効な反論が相手方から提出されないので、その意味では間違いなくやりやすいと感じます。

結論が決まっている事案でない限り、何かしら争点があるような事案では、弁護士を立ててしっかり権利主張を行うのをおすすめします。

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*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

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星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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