メルマガも場合によっては犯罪に!? 「特定電子メール法」ってこんな罪

2015年4月、総務省が出会い系サイト運営会社に対して、メール内容についての報告を求めたのにもかかわらず、回答しなかったとして、警視庁サイバー犯罪対策課が運営会社の社長と運営会社を「特定電子メール法」(報告徴収)違反の疑いで書類送検したと報じられました。

この会社は1年半の間だけで20億通以上のメールを送信していたということです。

出会い系サイトではなくても、企業のメルマガなどを担当している人も注意です。あまり考えずにメルマガなどを送っているとこの法律に触れてしまうかもしれません。

この「特定電子メール法」とはどのような法律なのでしょうか?

メール

■特定電子メール適正化法とは?

正式名称は、「特定電子メールの送信の適正化に関する法律」です。「特定電子メール」というのは、要するに広告宣伝メールです。

広告宣伝メールは、受け取りたくない人にとってみれば迷惑極まりないメールです。

この法律は、そうした迷惑メールを撲滅することによって、皆さんが電子メールをスムーズに利用できるようにするためのルールや違反した場合の罰則などについて定めた法律です。

 

■主な5つのルール

主なルールは以下のようなものです。

・あらかじめ「同意」した者に対してしか広告宣伝メールを送信してはいけません。

要するに勝手に広告宣伝メールを送るつけるなということです。なお、フリーメールを利用させて、おまけのように広告宣伝を付けさせてもらうのはセーフです。

・広告宣伝メールを送信することについて同意をとった場合、同意をとったことがわかる記録を「保存」しないといけません。

要するに同意をとったなら、わかるようにしておきなさいということです。

・広告宣伝メールを送信する場合、送信者・販売業者などの氏名・名称、受信拒否の通知ができる旨の表示、受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレス・URL、送信者の住所、問い合わせ先の電話番号・電子メールアドレス・URLなどを「表示」しないといけません。嘘の情報を表示してもいけません。

責任の所在を明確にさせ、無責任な広告宣伝メールを送らないようにするためです。

・いったん同意してもらっていたとしても、その後、受信拒否の通知を受けたのであれば、以後広告宣伝メールを送信してはいけません。

・総務大臣・内閣総理大臣から報告・立ち入り・検査を求まれられた場合、従わないといけません。

今回送検された件に関するルールですね。

 

■違反した場合の罰則

・同意のない者・受信拒否者への送信

総理大臣・内閣総理大臣の命令に従って是正しない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

会社としてやっている場合、会社に対しても3,000万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

・同意の記録を保存しない場合

総理大臣・内閣総理大臣の命令に従って是正しない場合、100万円以下の罰金を科せられる可能性があります。会社としてやっている場合、会社に対しても100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

・表示すべき送信者情報を表示しなかった場合

総理大臣・内閣総理大臣の命令に従って是正しない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

会社としてやっている場合、会社に対しても3,000万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

なお嘘の送信者情報を表示した場合、いきなり1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられる可能性があります(会社形態の場合は、いきなり3,000万円以下の罰金。)。

・報告・立ち入り・検査を拒んだ場合

従わなかった場合、100万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

 

■迷惑メールへの対処法

財団法人日本データ通信協会に設置された迷惑メール相談センター(03-5974-0068)が迷惑メール撲滅のため皆さんの情報提供を受け付けているようです。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

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冨本 和男 とみもとかずお

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