先日、動画投稿サイトのFC2動画で、FC2の利用者が性行為を写した動画をライブ配信していたという事実で、利用者だけでなくサイトの運営者までが逮捕されました。
性行為を配信していた利用者が公然わいせつ罪で逮捕されるのはわかるのですが、なぜ運営者までが逮捕されるのでしょうか?
FC2というのは、あのカジノで有名なアメリカネバダ州ラスベガスに本社があるそうです。そこで、まず海外に本社がある会社に日本の法律が適用になるのかという点が問題となります。
●本社がアメリカだと逮捕できないが……
そもそもわいせつな画像のライブ配信は刑法第175条の公然わいせつという罪に該当しますが、この罪は国外犯、すなわち海外で犯した場合に日本の法律で裁くことができません。利用者は別として、FC2の本社はアメリカにありますので、原則的にはこの罪で逮捕されることはありません。
しかしながら、今回のケースでは、実質的運営者が「ホームページシステム」という会社であり、このホームページシステムが国内にあったということで、刑法を適用しています。
●「実質的運営者」かどうかはどう判断されるのか
問題は何をもって「実質的」運営者と言えるか否かという点です。一般論で言えば、ホームページシステム社がどこまで経営に参画していたかということですが、一律に決められるものではなく、ケースバイケースで判断されることとなります。
そして、この実質的運営者であるホームページシステムの社長と、FC2の創業者でありホームページシステムの相談役が、ライブ配信した利用者と共謀したということで利用者の共犯であるため逮捕されたという理屈です。
とはいうものの、この逮捕には疑問の声も上がってきているようです。そもそも、ホームページシステム社が実質的運営者と言えるのか、利用者と運営者が共謀などできるのかという疑問です。
有罪か無罪かは今後の裁判によって明らかになりますが、非常に微妙な事案であることは間違いなさそうです。
●ユーザーの皆さんはご安心を
ところで、男性諸君として一番気になるのは、わいせつ動画をパソコンで見た場合、それで逮捕されるのではないかということだと思いますが、自宅でこっそりと一人で見るだけであれば、全く犯罪にはなりませんので警察に逮捕されることはありません。
このニュースを聞いて逮捕されるのではないかと不安に思っていた人はご安心下さい。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)
*画像はFC2ライブのスクリーンショットのぼかしをかけたもの