アメリカの警官がパトカーで犯人をぶっ飛ばして波紋・・・日本でも許される?

米国のアリゾナ州で、ライフル銃を持って歩いていた男性に警察がパトカーで突っ込んでいった様子を収めた動画が話題となっています。

この男性は、空砲を一度放ち、警察官の警告にも関わらずそのままオフィス街に向かって歩いていったとのことで、このまま放置しておいては乱射事件などが起こった可能性も指摘できません。

一方で他人に向けて銃を発射しようとする様子を見せていない者に対して、パトカーで体当りするという手荒な方法には批判的な意見もあります。

このような警察官の行為は日本でやったらどうなるのでしょうか? 許されるのかどうかについて考えたいと思います。

パトカー

■警察官の職務に関する法規制

警察官の職務は、時に強制力を伴うものであるため、どのような場合にそのような強制措置ができるかについては、法律で規制されています。その法律が、警察官職務執行法というものです。

この法律では、武器の使用ができるケースは厳格に規制されています。特に武器を使用して人に危害を加えることができるのは、正当防衛や緊急避難、それに準ずるようなケース(つまり、人の生命や身体を守るために他に手段がない場合)に限定されています。

また、犯罪がまさに行われようとするときに、その行為により人の生命若しくは身体に危険が及んだり財産に重大な損害を受けるおそれがあって、緊急の対応が必要なケースでは、警察官は、その行為を制止することができると定められています。この場合の「制止」には、武器を使用する場合は含まれないでしょう。

 

■パトカーで体当たりは、日本で許されるか?

結論から言えば、今回の動画のようなケースでは許されないでしょう。

パトカーを「武器」に該当すると考えるか考えないかは、見解が分かれるところでしょうが、仮に該当すると考えた場合、このシチュエーションでは、「人の生命や身体を守るために他に手段がない」とは言えません。該当しない場合も、「制止」として許される限度は超えているといえます。

そもそも、今回のケースでは、日本では、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕することができます。

警察官や複数のパトカーで追い込んだ上で、ライフルを放棄させ、現行犯逮捕を試みるのがまず先でしょう。その際に犯人が警察官の言うことをきかず、ライフルを発射しそうになったときに、初めて拳銃の発射やパトカーでの体当たりが許される可能性が出てくるものと思われます。

人身の安全確保のために警察官の武器使用権限を拡大するべきだという論調が日本でも見受けられますが、拳銃の所持が個人に認められているアメリカと厳格に規制されている日本では、議論の根本となる状況が全く違います。

警察の権限を強くすれば、それだけ個人の自由な行動が制限されることにも、意識を向けることが必要です。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

Dash Cam video of Marana Arizona Police cruiser running over suspect – YouTube

寺林 智栄 てらばやしともえ

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