アメリカのデラウェア州で、故人が利用していたインターネット上のEメールやSNSのアカウントなどのデジタル資産に、遺族(相続人)がアクセスできるようにする州法が成立し、施行されたそうです。
このことが先日、テレビ番組で取り上げられたところ、ネットでは「おいやめろ」とか「悲報」などと話題になり、その多くがこれを歓迎していないようでした。
アメリカでこのような法律が制定・施行されるのは初とのことですが、日本でもこのようなことは明確には定められていませんが、どのように考えるべきでしょうか。
■日本でも理論的にはデジタルデータを相続する
まず日本でこのような法律を制定に動いているという話は聞いたことはありません。
ただ、日本では、相続をすれば故人の法的地位を引き継ぐことになります。そして、デジタルデータも資産と言い得るため、理論的には相続人が故人のデジタルデータを相続することになります。
しかし、アカウントにアクセスするためには、普通はIDとパスワードが必要です。アカウントやIDというのは、そのサービスの提供主体が利用規約に則って与えているものであり、遺族に当然に相続されるべきものとは言えません。
そのため、実際上、アカウントにアクセスすることができるかどうかは、サービス提供主体の利用規約次第ということになります。
なお、IDやパスワードを知っているのかという事実上の問題点も当然あるでしょう。
■各社はどういう対応か
各社の対応はそれぞれ違いますが、相続人であることを示した上で依頼をすることで、削除や非公開にする対応をとってくれたりするところが多いようです。実際に必要が生じたときは、どうしたいのかということを含めて、運営会社に問い合わせるのがよいと思います。
ちなみに、最近はこの点を意識して、遺言書でアカウントの処理について記載する人も増えているようです。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)