「嫁が風俗嬢」「夫に前科」…結婚してから分かった事実で離婚はできるか

夫婦

ネット上の記事によれば、「離婚原因ランキング☆最も多い離婚原因トップ10」は以下のようです(http://life-pl.com/rikongeninranktop10-173)。

1位…性格の不一致

2位…子供を大切にしてくれない

3位…夫や妻の浮気

4位…夫や妻の実家との折り合いが悪い

5位…モラハラをしてくる

6位…夫や妻に浪費癖がある

7位…相手からの暴力が原因

8位…相手が家庭での役割を果たさない

9位…自分の親との同居を拒否された

10位…相手から思いやりを感じない

ここにある離婚原因はメジャーなものですが、こんなのは離婚原因になるの?というものについて考えてみたいと思います。

 

●嫁が風俗嬢だった場合

結婚するまでは分からなかったが、結婚後、嫁の友人から、嫁は独身時代風俗嬢だったという事を聞いた。

結婚前に聞かされていれば、結婚まで踏み切らなかったので、今からでも遅くないから離婚したい。果たして、離婚は認められるでしょうか?

 

●離婚が認められる原因

そもそも、裁判で離婚が認められるためには、離婚原因が必要です。この離婚原因について、民法は5つの原因を定めてます。

1…配偶者に不貞な行為があったとき。

2…配偶者から悪意で遺棄されたとき。

3…配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

4…配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

5…その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

本文の場合、1~4にはあてはまりませんから、5の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」について検討する事になります。

 

●継続し難い重大な事由とは

どのようなケースが離婚原因として認められるかは、内容も幅が広く限定されていません。同じようなケースでも離婚が認められる場合と認められない場合があり、個々の事情に応じて裁判官が総合的に判断します。

したがって、こうだから離婚が認められるとは一概にはいえません。

ただ、夫婦生活は、夫婦の信頼関係をベースに成り立ちますので、夫婦間の信頼関係が崩れている場合には、婚姻を継続しがたいということになります。

問題は、そこに重大な事由があるかということです。

 

●風俗嬢だっただけでは離婚は難しい?

嫁が元風俗嬢だということ知ればショックが大きいとは思いますが、それを原因として離婚が認められるかというと、必ずしもこの理由だけで離婚が認められるとは思えません。

それぞれ、結婚までの流れとか、結婚後の夫婦生活など、楽しい時間を過ごしたこともあるでしょうから、ふたりの関係を単に嫁が元風俗嬢というだけで、裁判所が壊して良いかといえば、なかなかそこまで踏み切れないのではないでしょうか。

したがって、様々な事情があれば別ですが、もと風俗嬢であるという事を後から知っただけでは離婚は認められないのではないかと考えます。

 

●相手に前科があった

これもショック大きいですよね。

結婚となれば、二人の関係だけでなく、両親や親戚一同、何かの際には関わってきます。

そうした中、相手が前科者ということを知ったら、自分自身のショックが大きいだけでなく、この事実を両親や親戚が知ったら、一族郎党が蜂をつついたような大騒ぎとなり、即離婚という話が目に見えてきます。

この場合も果たして、離婚が認められるでしょうか?

前科といっても、スピード違反での罰金も前科、懲役にいっても前科です。人身事故を起こして、執行猶予が付いたとしても、猶予期間が過ぎれば刑の言い渡し自体はなかった事になりますが、世間的には前科者です。

このように、前科者といっても犯罪の内容は様々ですから、前科があるからといって離婚原因になるとは限りません。

もっとも、殺人などの重大犯罪であれば、肩身の狭い思いをさせられるでしょうし、そういう状況になる事も裁判官に理解して貰えるでしょうから、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚が認められそうです。

反対に、軽い犯罪、例えば、万引きを繰り返してばかりいるケースでは、執行猶予も付かず、自宅と刑務所と行き来する場合もあるので、このようなケースではすでに夫婦生活を送っているという実態はなさそうなので、離婚も認められると思います。

 

●宗教

相手方が宗教にのめり込んで、家のお金をつぎ込んで困る。夜中にぶつぶつお経を唱えているのが堪らなく嫌など、宗教にまつわるケースも増えております。

しかし、信仰の自由は憲法で保障された権利であり、夫婦といえどもこれをみだりに侵害、妨害することは許されません。

もっとも、夫婦間においては、夫婦共同生活を営む以上、相互に相手の価値観や考え方を尊重し、自己の行動の節度を守り、協力しながら家族間の精神的融和を図りながら夫婦関係を円満に保つよう努力すべき義務があるというべきでだから、その限度で信仰や宗教活動にも一定の自重が求められるというべきです。

したがって、夫婦の一方が自己の信仰の自由の実現を過度に相手方に強いたり、宗教活動に傾倒するなどして家庭内の不和を招き、あるいは相手方の心情を著しく無視するような対応をとった結果、夫婦関係が悪化し、婚姻関係を継続し難い状態に至ったような場合には、それをもって離婚原因を構成するものと考えられます(東京地方裁判所平成17年4月27日判決)。

よって、冒頭申し上げたように、宗教にのめり込んで、毎晩勧誘活動に外出したり、仕事や家事、育児を放り投げて家庭崩壊となっているようなケースでは、すでに婚姻関係も破綻しているでしょうから離婚が認められると考えます。

 

*著者:弁護士 桐生貴央(広尾総合法律事務所。「人のために 正しく 仲良く 元気良く」「凍てついた心を溶かす春の太陽」宜しくお願いします。)

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桐生 貴央 きりゅうたかお 弁護士

広尾総合法律事務所

東京都港区南麻布5丁目15番25号 広尾六幸館301(主事務所)

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