バイトを辞めるたいけど、伝えるのが億劫…そんな時、人によっては何も言わずに辞めてしまう「バックレ」をする人もいます。
中にはいつもバッ クレている、ひと月で5件バックレたなどの話もネット上にはあります。一部では当たり前のように行われているバックレですが、このような行為をされたら店主としては黙ってはいられません。法的に問題はないのか、訴えることはできるのか、などについて書いていきます。
●職務放棄・債務不履行になる
バイトをバックレるということは、職務放棄であり、雇用契約の債務不履行そのものです。当然、損害賠償請求の対象になります。
突然の職場放棄により、残された従業員が余計な労働力を強いられた、ということになれば、その人件費が損害賠償の対象になるでしょう。職場放棄により、商品 の納入が遅れ、お客様に対して納期が遅れ損害が発生したということであれば、それも損害賠償請求の対象になるでしょう。それだけ、突然の職場放棄、すなわ ちバックレる行為は、雇い主に迷惑がかかるものなのです。
しかしながら、バイトは基本期限の定めのない雇用契約ですので、辞表を出してから2週間が経過すれば、正当に辞められるのです。つまり、雇い主としては2週間は次のバイトを雇うための準備期間が必要だということで、この猶予さえ与えれば、バイトは簡単に辞められるのです。
バックれようと考える前に、ちゃんと辞めることを考えるとよろしいかと思います。
●雇い主がやるべきこと
お店側としては、バックれたバイトに対して、お灸を据える意味でも、内容証明くらいは出して、法的責任を追及する警告を出した方がよろしいかと思います。
また、バイトを雇う際、身元保証人を立てさせることができれば、バックれをある程度防ぐこともできるかと思います。
逆に、ここまでバックれが多くなっている現状からすれば、むしろ雇う際に正当な辞め方を教えておいた方がよろしいのではないかと思います。バックれを予防することも雇い主としての責任かもしれません。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)