同じ事故でも「よそ見」より「居眠り」の方が罰則が重くなるのはなぜか

交通事故

居眠り運転とよそ見運転、どちらも前方を見ていない事により起こる事故です。

しかし、この2つでは居眠り運転の方が罰則が重くなります。なぜだと思いますか?

まず、この2つは交通事故を起こしているので、道路交通法第70条の「安全運転義務」に違反します。

この安全運転義務に違反した場合は道路交通法第119条で「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」に処せられます。

これだけではなく、さらに道路交通法第66条は「何人も前条第1項に規定する場合のほか過労病気薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。 」(過労運転等の禁止)と規定しております。

居眠り運転が過労等によって引き起こされた場合にはこの過労運転等の禁止義務に違反します。

この場合の罰則は「麻薬大麻あへん覚せい剤又は毒物及び劇物取締法第3条の3の規定に基づく政令で定める物の影響により正常な運転ができないおそ れがある状態で車両等を運転」した場合には「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」それ以外の原因による場合には「1年以下の懲役又は30万円以 下の罰金」に処せられると規定しております。

したがって居眠り運転が過労運転等によって引き起こされた場合の方が安全運転義務に違反した場合よりも罰則は重くなっています。

 

●人をはねてしまった場合ではどうなる?

それではよそ見運転や居眠り運転で人をはねて怪我をさせたり死亡させてしまった場合の罰則はどうなるでしょうか?

この場合には「自動車運転死傷行為処罰法」という法律が適用されます。この法律は平成26年5月20日から施行されました。

この法律は痛ましい重大交通事故が相次ぐ中で、今まで刑法に規定されていた刑罰の重い危険運転致死傷罪では処罰する事が出来ず刑罰の軽い自動車運転 過失致死傷罪でしか処罰できなかった現状を踏まえ「もっと厳罰を科すべき」という厳罰化を願う声や国民の関心が高まり危険運転致死傷罪に新たな類型 を追加するなどして悪質・危険な運転者に対する罰則を強化したものです。

この法律により「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて」居眠り運転をして事故を起こして人を死亡させた場合には「1年以上20以下の懲役」人を傷つけた場合には「15年以下の懲役」に処せられることになりました。

また「アルコール又は薬物若しくは運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転しよっ て正常な運転が困難な状態に陥り」居眠り運転をして人を死亡させた場合には「15年以下の懲役」人を傷つけた場合には「12年以下の懲役」に処せら れます。

その他よそ見運転や居眠り運転により人に怪我をさせたり死亡させてしまった場合には「自動車の運転上必要な注意を怠り人を死傷させた場合として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」に処せられることとなります。

 

*著者:弁護士 桐生貴央(広尾総合法律事務所。「人のために 正しく 仲良く 元気良く」「凍てついた心を溶かす春の太陽」宜しくお願いします。)

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桐生 貴央 きりゅうたかお

広尾総合法律事務所

東京都港区南麻布5丁目15番25号 広尾六幸館301(主事務所)

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