弁護士7人が考えた「電車内で痴漢に間違えられないためにとるべき行動」

先日公開した「痴漢に間違われた時にどうするべきか」を弁護士8人に聞いた記事に大きな反響がありました。

痴漢に間違われた時「絶対にやってはいけないこと」 弁護士8人に聞いてみました

様々な反響がある中で、「そもそも痴漢に間違われないためにはどうすれば良いのか知りたい」という声が多く届き、今回は、「痴漢に間違われないためにするべきこと」をシェアしたくなる法律相談所で書いている先生から7名に聞いてみました。

迷惑防止条例違反、いわゆる「痴漢」は、男性から女性に対してのみならず、女性から男性に対しても、また、同性間においても成立しますが、今回は男性から女性に対しての痴漢を前提に答えて頂きました。

 

星野法律事務所

●長塚希弁護士 長塚 希

痴漢に間違われないようにするためには、(1)なるべく女性のすぐ近くに立たない、(2)紛らわしい場所に手を置かない、(3)つり革を掴んだりかばんを持ったりすることで空いている手をつくらないようにする、等の対策を取ることが基本であると思います。これらについては既に実践されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、満員電車ではなかなか思うように動けず、上記の対策が実践できない場合もあり得ます。そのような場合は、例えば手が触れてしまっている女性に対して、あらかじめ「すみません」などと声をかけておくことで悪意がないことをアピールすることが、誤解を避けるために有効かも知れません。自分の経験からしても、そのような声をかけられた場合、声をかけた人が痴漢であるとは通常考えないように思います。

 

 

琥珀法律事務所

●寺林智栄弁護士 寺林智栄

痴漢に間違われないようにするために一番良いのは、「両手を上にあげておく」ということだと思います。手荷物は網棚の上にあげて、両手で吊り革をつかんでおくと、自然ですしよろしいのではないでしょうか。

私の知人の弁護士で、「電車内では常にスマホを両手に持って操作しているので、自分は痴漢に間違われないだろう」などと言っている人がいましたが、見た目に怪しいですし、ひょっとすると盗撮の準備でもしているように見えてしまうかもしれないので、個人的にはあまりお勧めできません。

また、男性の場合は、可能であれば、女性の乗客の近くに立たないということも防衛策のひとつではあると思います。ただ、同性同士の痴漢行為もあり得なくはないので、100%の防衛策とはならないのではないでしょうか。

 

 

広尾総合法律事務所

●桐生貴央弁護士 桐生 貴央

簡単な方法として、女性に近づかないのが一番です。従って、間違っても女性専用車両には乗ってはいけません。

痴漢に間違われやすい場所には立たない。以前、入り口ドアのコーナーのところで「壁ドン」みたいにされて困った顔押している女性がいたので、「壁ドン」から解放させたことがありましたが、「壁ドン」の状態を見ていると、痴漢に間違われても仕方ないと思いますので、入り口ドアのコーナーには近づかないのも一つの選択です。

混んだ電車に乗ってしまった場合はハンズアップ。とりあえず、手を挙げるというのが間違われなくてすみます。

荷物を持っているのであれば両手で持つ。両手で持っていれば、これも間違われなくて済むでしょう。

 

 

神楽坂中央法律事務所

●山口政貴弁護士 山口 政貴

実現可能かどうかは別として考えられる対策を列記いたします。

(1)そもそも公共交通機関を利用しない。徒歩、自動車、自転車での通勤を考える。

(2)電車・バスに乗らざるを得ない場合は満員となる時間帯を避ける。もしくは少々遠回りでも満員となる列車・バスを避ける。

(3)満員電車に乗らざるを得ないときは、女性から徹底的に離れる。まずホームや停留所で並んでいるときは絶対に女性の後ろには並ばない。車内でも女性の周りに近寄らない。

(4)手にはカバンや新聞、本などを持っておく。スマホを持っていると痴漢でなく盗撮を疑われる可能性があるのでお勧めできません。

(5)両手は絶対に下げない。つり革をつかめる場合は両手でつかみ、そうでない場合はとにかく両手を肩より上にあげる。カバン等を持っていても上げたほうがベスト。

(6)もぞもぞするような不審な動作は絶対にしない。

 

 

星法律事務所

●星正秀弁護士 星 正秀

君子危うきに近寄らず、だと思います。電車などでは女性のそばに行かないことです。

また、女性のそばになってしまった場合は両手を上げていることです。片手に荷物がある場合はもう一つの手は上に上げておきます。

身体の前面が女性の身体に触れない事も重要です。女性によっては男性器を押し付けられたと主張する人もいますから。

 

 

法律事務所あすか

●冨本和男弁護士 冨本 和男

座席に座れれば、できるだけ座る。座れなければ、荷物を荷台に載せ、両手でつり革を持つ。その上で気を抜かない。

 

 

星野法律事務所

●星野宏明弁護士 星野 宏明

両手を周りに見える位置に置く。

片手でつり革を掴み、他方の手も周りに見えるよう、自分の胸以上の高さにキープするなどしましょう。つり革を掴んでいない手は、携帯をいじったりしていても構いませんが、どの位置にあるかが周りの乗客に見えるよう、胸よりも上の位置に手を維持しておくことが大事です。

他方の手で鞄を下にもっているだけだと、鞄を持ちながら痴漢をしたと疑われるリスクが残りますので、鞄は網棚などに置き、両手を乗客に見えるようにすると安全です。ドアの前で体の正面をドアに向けて立つことも、痴漢に間違われるリスクを減らせます。

最後尾の車掌室からはっきり見える位置に立つことも有効です。

 

 

琥珀法律事務所

●川浪芳聖弁護士 川浪 芳聖

確固たる方法はありませんが、物理的に痴漢できる状況にないことを周囲にアピールすることが有用と思います。

男性目線から述べると、具体的には、(1)電車待ちをしているときに、男性が多く並んでいる列の後ろに並び、そのまま電車内でも男性の近くに乗る(満員電車では女性の近くに立つことを避ける)、(2)電車内ではつり革をつかむか、腕を自分の胸の前に組んで(鞄を持っているなら、両手で胸の前に抱え込んで)、物理的に痴漢できない状況にあることを周囲にアピールする、(3)混雑しやすいドア付近を避けて乗る(電車に乗り込んだら、座席のある方へ行く。目の前が座席であれば、痴漢できない状況にあることを周囲にアピールできます。)、(4)途中の駅で女性が近くに乗り込んできた場合には、適宜場所を移動する(女性の前後に立つことを避ける)という方法が無難ではないかと思います。

 

 

 

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女性に近づかないことはは勿論、一般的に言われる、「つり革をつかむ」方法はやはり無難な策と言えそうです。しかし、ふとした動作が誤解を招く恐れは拭いきれません。

現実的にはなかなか難しい部分もありますが、冤罪事件に巻き込まれる様な事があってからでは遅過ぎます。今日から何かひとつでも先生方が提案する予防策を取り入れてみてはどうでしょうか。

合わせて「痴漢に間違われた時「絶対にやってはいけないこと」 弁護士8人に聞いてみました」もご覧下さい。

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