とある塾が売り文句として「国公立大出身講師98%」と掲げていたが、実際に国公立大出身者は14%だったというニュースが話題になりました。
消費者庁は消費者に違反を周知徹底するよう求める措置命令を出したとのことです。そこで、今回は「景品表示法」について解説してみたいと思います。
■景品表示法とは
正式名称は、「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。
この景品表示法は、商品やサービスについて実際より良く見せかける表示が行われたり過大な景品類の提供が行われたりするのを規制することによって、皆さんがより良い商品・サービスを選択できるような環境を守るための法律です(同法1条)。
要するに、景品表示法は、皆さんが実際より良く見せかける表示や過大な景品につられて実際には良くない商品・サービスを購入して不利益を被ることのないようにするための法律です。
■景品表示法違反とは
景品表示法違反として禁止されるのは次のような場合です。
(1)優良誤認表示(同法4条1項1号)
品質・規格・その他の内容について実際の商品・サービスのものよりも著しく優良であると誤認させる表示です。
今回のニュースも、国公立大出身の講師が実際には「14%」しかいないのに「98%」と謳っていたわけですから、実際のサービスよりも著しく優良であると誤認させる表示に当たります。
実際はそうではないのに、商品・サービスの品質・規格がライバル業者よりも著しく優良であると誤認される表示も優良誤認表示に当たります。
(2)有利誤認表示(同法4条1項2号)
商品・サービスの価格その他取引条件について実際のものよりも著しく有利であると誤認させる表示です。
例えば「半額セール」と謳いながら、実際には定価で販売しているような場合です。
実際はそうではないのに、商品・サービスの価格その他取引条件についてライバル業者よりも著しく有利であると誤認される表示も有利誤認表示に当たります。
(3)その他誤認されるおそれのある表示(同法4条1項3号)
まぎらわしい表示や正しい判別を困難にさせる表示のことです。
例えば、りんごジュースと記載されているが無果汁・無果肉でそういった記載がない場合、原産国を明示していないのに原産国以外の国旗が衣類にプリントされている場合、既に売約済みの不動産について広告している場合等です。
(4)過大な景品類の提供(同法3条)
過大な懸賞やおまけで消費者を惑わして商品・サービスを購入させようとする場合です。
景品類の最高額、総額等が規制されています。
■景品表示法に違反した場合
景品表示法に違反した場合、消費者庁から、再び違反行為を行わないよう、違反したことを一般の人に周知徹底させるよう、再発防止策を講じるよう、命令されます(「措置命令」といいます。同法6条)。
この措置命令に違反した場合、2年以下の懲役とか、300万円以下の罰金とかの刑罰を受けることもあります(同法15条)。
お客さんに商品・サービスを購入して欲しいという気持ちはわかりますが、実際より著しく良く見せかけたり、過大な景品を付けて購入させるというやり方はこのように法に触れます。
やはり、事業者には、実際の商品・サービスの良さで勝負して欲しいと思います。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)