牛丼チェーン大手「すき家」の一部店舗が一時閉店する動きが先月多く見られました。
それにはすき家の過酷な労働環境が起因しているのではないかという指摘がネットで上がり、文末に挙げるような経緯まとめ記事も公開されました。
そこではすき家が「アルバイトは業務委託である」という趣旨の主張を過去にしていたようですが、もしこれが事実なら、法的にどのような問題があるでしょうか?
不法な労働契約によって不幸な人が生まれないよう、正しい法知識をお伝えしたいと思います。
人に仕事をしてもらう形態としては、雇用契約の他に、請負契約やすき家の件で問題になっている業務委託契約があります。すき家が雇用契約ではなく、業務委託契約だと主張したとすればその理由は、ただ一点、残業代を払いたくないだけなのです。
つまり、雇用契約に比べて、業務委託契約にするのは、経営者側にメリットがあるのです。
一番大きいのは、労働基準法の適用がないということです。労働基準法の適用がないといことは、残業代等の割増賃金の支払いもしなくて良いし、年休を付与する必要もないし、解雇予告もしなくて良いし、最低賃金の適用もありません。
経営者としては、法を潜ってこのような義務をまぬかれるために、実態が雇用契約であっても、似て非なる業務委託契約と言いたがるのです。
雇用か業務委託かの違いはどこにあるのかといったら、一言で言えば上命下服の関係にあるかいなかです。この関係にあるのが雇用です。だからこそ、労働者は労働法で守られるのです。
すき家は「アルバイトは勤務シフト表を自分たちで作成し、会社の業務指示で業務をしていないから、業務委託契約だ。」などと主張したそうですが、これで上命下服の関係にないと本気で思っているのだとしたら、相当にブラックな企業ですね。早々に改善をしてもらいたいものです。