賃貸物件の退去時50万円請求された!泣き寝入りするしかないの?

2月、3月は新入学、入社はもちろん、転勤や転職で、新生活をスタートさせる人が多い季節。すでに新しい場所に引っ越した人も多いのではないでしょうか。

なかには、費用がかなり高額となり、「出鼻を挫かれた」と感じた人も、いるかもしれません。先日引っ越したAさんは、退去時に50万円という法外な値段を請求され、納得がいかないものを感じています。

 

退去費用に規定はある?

引っ越し費用が高額になる理由は様々ですが、賃貸物件から出る場合は、退去費用がかなりかかることが挙げられます。とくに入居時に敷金礼金を払わない「ゼロゼロ物件」では、何かと理由をつけて修繕費用を釣り上げ、数十万円単位の請求が行くことも珍しくないと聞きます。

また、敷金を払っている場合でも、「難癖」にも思える論理で修繕費を請求してくるケースがあるようです。Aさんの場合も、あれやこれやと修繕リストに入れられ、50万円にまで金額がうなぎ登ることになりました。タバコなどを吸っておらず、特別な損耗はないと思うのですが…。

このような賃貸物件の引っ越しに関する「修繕費」の規定について、明確な法律があるか否かは、あまり知られていない感があります。退去時の費用請求について、明確な規定はあるのでしょうか? 銀座さいとう法律経済事務所齋藤健博弁護士に聞いてみました。

 

弁護士の見解は?

齋藤弁護士:「修繕義務を負うのは、実は、賃貸人側です。必要費償還請求権と言いますが、建物明け渡し時に、一方当事者に修繕個所を押し付ける行為は許されません。原状回復請求権義務と言って、賃借人が費用負担をするにあたって敷金から差し引くことができる範囲は、限定されています。

たとえば子供が不注意で割ってしまった窓ガラスの修理などであれば、正当に敷金から控除されてしまいますが、通常の使用を超える程度の毀損行為を超えていない範囲では、敷金から一方的に控除することはできません。

本件では、敷金を超える程度の原状回復を要求してくるのであれば、それは、現況をみて、引き渡し時の状況と比較対照し、不当であることが多いでしょう」

 

不当性を主張するにはどうすればいい?

齋藤弁護士:「まずは話し合いをしたほうがよろしいでしょう。裁判手続などを急ぐと、赤字になるおそれがあります。

実は、急に弁護士に相談をしなくても、宅地建物取引業協会の相談窓口、や、各種ADRが発達してきているので、ただちに裁判などを行うことがなくても、解決できるようになってきています。それでも問題であれば、少額訴訟などの解決法が視野に入ります」

 

窓口に相談を

納得の行かない請求に泣き寝入りする必要はありません。然るべき機関に相談しましょう。

 

*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律経済事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

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