セルフレジ導入で解雇される労働者が増える…? 法的に可能なのか解説

昨今大手コンビニエンスストアが、店舗にセルフレジを導入し、人員削減を予告する張り紙を店舗に掲示していることがネット上で話題となりました。

店員の確保が難しく、人件費が店舗経営を圧迫する現代社会で、セルフレジはその問題を解決する救世主と考えられているようです。

 

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セルフレジ導入を理由に解雇は認められる?

一方労働者は、自分の仕事を奪われてしまうことになります。「セルフレジ導入するから、君はいらないよ」といわれるのではないか、と戦々恐々になっている人もいるのではないでしょうか。

とくに正社員の場合、「セルフレジ導入」を理由に解雇されることは、死活問題になります。法律的に見て問題ないのでしょうか? 法律事務所あすかの冨本和男弁護士に質問してみました。

冨本弁護士:「セルフレジ導入のみを理由とする解雇は無効であると考えます。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合はその権利を濫用したものとして、無効になります(労働契約法第16条)。

人員整理のための解雇(整理解雇)の場合、人員削減の必要性、解雇回避努力を尽くしたかどうか、解雇対象者の人選基準とその適用の合理性、労働者側との協議などの手続の妥当性を元に判断されるようです。

セルフレジ導入を理由とする解雇の場合、セルフレジ導入によって人員が不要になるだけで、人員削減の必要性が必ずしもあるわけではありませんので、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないのではと考えられます。

したがって、セルフレジ導入のみを理由とする解雇は、無効と考えられます」

 

アルバイトの場合は?

正社員の場合、「セルフレジ導入」で解雇することはできないことがわかりました。それでは、アルバイトではどうなのでしょうか。正規雇用ではないだけに、認められるような気もします。真相を法律事務所あすかの冨本和男弁護士に聞いてみると…。

冨本弁護士:「アルバイトの場合にも解雇の無効を主張することが可能と考えます。アルバイトは「期間の定めのある労働契約(有期労働契約)」(労働契約法第17条)ですので、使用者であるコンビニエンスストアは、「やむを得ない事由」がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間、労働者であるアルバイトを解雇することはできません。

解雇を「やむを得ない事由」がある場合に制限しているのは、契約期間中の労働者の地位を保護するためです。「やむを得ない事由」については、「期間満了をまたず直ちに契約を終了させざるをえないような事由」を意味すると考えられ、労働者が就労不能となった場合、労働者に重大な非違行為があった場合、経営環境の激変により運営が困難になった場合のことをいうようです。

セルフレジの導入だけでは「やむを得ない事由」に当たるとは考えられません。したがって、アルバイトの場合でも、セルフレジ導入のみを理由とする解雇は、無効と考えられます」

今後増える可能性が…

今後、セルフレジやAIの導入で職を追われるケースが増えると見られる日本社会。しかし、それを理由に「解雇」することは、原則難しい。経営者、労働者双方が、意識しておかねばなりません。

 

*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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