ワーキングマザーなのに夜勤や長時間残業…女性は辞めるしかない?

先日ある女性から、以下のような相談が寄せられました。

「私は子育てをしながら勤めているのですが、夜勤や長時間残業をやらされ困っています。負担軽減を上司にお願いしても、嫌なら辞めろというばかり。私は退職しか道がないのでしょうか」

子育てをしながら夜勤や長時間残業などをさせられるのは、母にとって厳しい話です。しかも負担軽減をお願いしても「なら辞めろ」と言われ、「辞めるしかないのか」と絶望する女性。

負担軽減に応じない会社側に問題ないのでしょうか? また、女性は退職するしか方法がないのでしょうか?琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士に見解を伺いました。

 

\あなたと家族を守る弁護士保険/

弁護士費用保険メルシー|株式会社カイラス少額短期保険

この行為は違法?

川浪弁護士:「本件のケースにおける会社の対応は、養育する子の年齢次第で、職業生活と家庭生活の両立に寄与することを目的とする「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(いわゆる育児介護休業法)に抵触し、違法となります。

具体的には、会社は、3歳に達しない子を養育する労働者が請求した場合には、事業の正常な運営を妨げない限り(以下同様)、所定労働時間を越えて労働させてはなりませんし(同法16条の8)、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合には、1か月につき24時間、1年につき150時間を超える時間外労働、及び、午後10時から午前5時までの深夜労働をさせてはなりません(同法17条1項、19条1項)。

また、育児休業を取得せずに3歳未満の子を養育する労働者(ただし、雇用期間が1年以上であること等の一定の条件を満たした者に限られます。)が希望する場合には、会社は、1日の所定労働時間を6時間に短縮する措置を講じなければなりません(同法23条1項)」

 

損害賠償義務が生じる

川浪弁護士:「次に、養育している子の年齢要件を満たさない場合であっても、「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」と定める労働契約法3条4項に基づき、会社は、労働者の家庭環境に一定の配慮をすべき信義則上の義務を負うと解されますので、本件のケースのように、労働者の個別具体的な事情を一切考慮することなく、「嫌なら辞めろ」と言い続けることは同義務に違反して不法行為(民法709条)を構成し、損害賠償義務が生じる可能性があるといえます。

以上のとおりですので、会社は、育児との両立について配慮を求める申し入れを受けた場合には、育児介護休業法に反しない対応をすることが最低限必要ですし、可能な限り、労働者の育児と仕事の両立を支援すべく、誠実に対応することが望ましいと考えます」

 

泣き寝入りせず相談を

女性が現在受けている措置は、違法である可能性が極めて高いようです。たとえ違法とわかっていても、行動することに躊躇してしまうことも事実ですが、「おかしい」ことには、泣き寝入りせず然るべき機関に相談しましょう。

*取材協力弁護士: 川浪芳聖(琥珀法律事務所。些細なことでも気兼ねなく相談できる法律事務所、相談しやすい弁護士を目指しています。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

川浪 芳聖 かわなみよしのり

琥珀法律事務所

東京都渋谷区恵比寿1-22-20 恵比寿幸和ビル8階

弁護士費用保険メルシー|株式会社カイラス少額短期保険

コメント

コメント